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がん診療 放射線治療科

1. 診療科の特色

1)) 治療時間は、9時から17時です。待ち時間が少なく患者様の負担を減らすよう心掛けています。個々を考慮した繊細な治療を行っています。画像誘導照合を用いた高精度放射線治療では、精巧な技術をもちいた強度変調放射線治療(VMAT)や体幹部定位放射線治療を行っています。これらにより、生活の質を落とすことなく、治療成績を向上させています。2019年6月より稼働しているVarian社の医療用直線加速器TrueBeamに加え、2023年5月より同社の医療用直線加速器Vitalbeamが加わり、2台で放射線治療を行います。現在も発展し続けている次世代の放射線治療に対応できる最新のリニアックです。安全性を考慮して短時間に高精度治療を行っています。

Varian社製 TrueBeam

2) 我々は、研究により治療成績を向上するため、常に研究成果を発表しています。

3) 精度高い治療を行うため、各患者さんに合わせたオーダーメイドの治療を行います。

4) 日本最高の放射線治療を目指しております。

2. がん種

3. 治療概要(治療実績)

放射線患者治療実績


4. その他の特殊放射線治療

1)強度変調放射線治療
前立腺がん、食道がん、咽頭がんなどで行ています。

2)体幹部定位放射線治療
肺癌、肝臓がんで行っています。

3)全身照射
白血病などの骨髄移植前処置として全身照射を行っています。


5. セカンドオピニオン担当医師 

医師名 専門とする領域
荻野 伊知朗 癌の放射線治療
伊藤 英子 癌の放射線治療
間瀬 美里 癌の放射線治療
西川 雄太 癌の放射線治療

1) 乳がん

強度変調放射線治療、嘉分割放射線治療などいろいろな治療選択肢があります。45歳以下の方は治療の選択を誤ると健常側乳がん誘発が心配となります。我々はそうならない研究をしており安全な治療ができます。(「放射線治療装置の低線量被爆研究」について)
3mm 以内の精度で、乳房に放射線治療を行うため、細心の技術で丁寧に治療します。そのため、個人に合わせて固定クッションを用いて治療します(下図)。この技術を用いて、安全な寡分割照射や強度変調放射線治療ができるようになりました。

寡分割照射では、1回の線量を増やして短期間に治療をするため、以前は25-30回であった治療回数を16-20回に短縮することが可能となりました。強度変調放射線治療では、健常側の乳腺の線量を減らすことができました(下図)。


術前化学療法後の乳房温存療法では、乳腺外科と共同で腫瘍内にカルシウムペーストを入れて、乳腺の切除を減らし、乳房の形態を維持する研究も行っています。(「術前化学療法後の乳がん温存療法に対するリン酸カルシウムペーストマーカー注入のランダム化比較試験」について)

2) 前立腺がん

泌尿器科医と協力して、前立腺内に小さな金マーカーを永久挿入し、放射線治療前に簡易なCT (cone beam CT)撮影し、金マーカーの自動照合をしています。また、蓄尿や治療前の直腸ガス抜きを行うことによって3mm 以内の精度で前立腺への照射が可能となりました。
強度変調放射線治療は、VMAT (volumetric modulated arc therapy)を用いることで以前まで7分程度かかった治療時間を2分に短縮することが可能になりました。
2010年3月から530名以上の前立腺がん患者さんに金マーカー挿入した強度変調放射線治療を行ってきましたが、侵襲のある治療が必要な副作用はなく、良好な治療成績が得られています。

治療計画を行う際に、MRI とCTで整合して、前立腺の形を正確に描出しています(下図)。

毎回の放射線治療前にcone beam CTを撮影し、治療計画CTと重ねて、前立腺のずれを検証します(下図左)。
自動照合で金マーカーを合わせます(下図右)。
金マーカー挿入は生検より負担が少なく、取り外す必要がありません。
個々の症例に合わせた最適な強度変調放射線治療を行っています。

当院で2年以上経過観察した、生物学的無病再発率(前立腺特異抗原の再上昇がない)を示したのは、下図です。(2022年12月現在)
PSA<10の場合:5年で98.5%,10年で92.1%治癒しており、
PSA10-20の場合:5年で95%,10年で80.5%治癒しており、
PSA>20の場合:5年で85.9%,10年で69.3%治癒しています。

放射線治療後10年における軽度以上の副作用(>grade 2 晩期障害)は、直腸が3.2%で膀胱が4.9%です。軽度の出血のみが多く、重篤な副作用はほとんどありません。

3) 食道がん放射線治療

2000年から2020年まで、放射線治療を用いて700名以上の食道がん患者さんに根治的放射線治療を行いました。その多くは、消化器病センター外科医と協力の上、抗がん剤を併用した放射線化学療法であり、手術と同等な治療成績をめざしています。
早期食道癌においても、内視鏡専門医と協力で、病変範囲に金属クリッピングによる印付けを行い、正確な病変を把握できるようにしています。それにより正常臓器に不必要な照射をすることのない放射線治療が可能です。これらの技術により良好な放射線治療成績が得られます。

食道の癌病変の上(口側)と下(足側)に内視鏡を用いて金属で印をつけます。(上左図)
放射線治療を計画する際は、治療計画CTで矢印のように印をつけた金属が白く写ります。これにより、病気の範囲が正確にわかります。(上右図)
金属は自然に脱落します。

強度変調放射線治療によって心臓などの重要臓器の照射線量を減らし、治療効果向上に貢献しています(上図)。

4) 肝臓がん

強度変調放射線治療を用いた体幹部定位放射線治療を行いっています。呼吸変動を少なくするため、息止めや腹部を圧迫します。呼吸による変動を正確に測定し、治療計画の際は造影CTを用いて腫瘍を正確に描出し、腫瘍以外の不必要な照射を減らします。1回約1-2分の治療を5回行います。副作用を減らし良い治療成績がえられています。

腫瘍を正確に描出します。左上図 赤(内側)、 腫瘍の形に合わせて正確に照射します。右上図 腫瘍に4250cGy以上(黄色)照射されていますが、近くの心臓の線量を減らしています。

腫瘍を正確に描出するには、造影剤を使用していないCT(左上図)だけでなく、造影剤を用いたCT(右上図)を用います。

5) 肺がん

特殊治療として体幹部定位放射線治療を行い、手術と同等の治療成績をめざしています。
横隔膜圧迫装置を用いて呼吸変動が少ない状態で治療しております(下図)。毎回の放射線治療前に、治療装置の備え付けてある簡単なCT (cone beam CT)で撮影し、計画CT画像とcone beam CT画像を照合後に放射線治療を行います。1回約20分の治療を5回行います。治療中並び治療後も問題となる副作用がほとんどないため、80代、90代の高齢者でも問題なく治療を行っています。

6) 上咽頭がん・P16陽性中咽頭がん

咽頭の周囲には、視力に大事な視神経・視交叉、生命維持機能の中枢である脳幹、様々なホルモンの働きをコントロールしている下垂体、その他脊髄、唾液腺、腕神経叢など様々な重要臓器があります。上咽頭がん、P16陽性中咽頭がんにおいて、これらを含めた重要臓器の線量を下げ、腫瘍やリンパ節転移の十分な線量を照射するため、強度変調放射線治療を行います。


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