当院の取組み

がん診療 放射線治療科

特色

Varian社製 TrueBeamVarian社製 TrueBeam
Varian社製 TrueBeam

治療時間は、9時から17時です。
待ち時間が少なく患者さんの負担を減らすよう心掛けています。
個々を考慮した繊細な治療を行っています。
画像誘導照合を用いた高精度放射線治療では、精巧な技術をもちいた強度変調放射線治療(VMAT)や体幹部定位放射線治療を行っています。
これらにより、生活の質を落とすことなく、治療成績を向上させています。
2019年6月より稼働しているVarian社の医療用直線加速器TrueBeamに加え、2023年5月より同社の医療用直線加速器Vitalbeamが加わり、2台で放射線治療を行います。現在も発展し続けている次世代の放射線治療に対応できる最新のリニアックです。
安全性を考慮して短時間に高精度治療を行っています。

我々は、研究により治療成績を向上するため、常に研究成果を発表しています。

精度高い治療を行うため、各患者さんに合わせたオーダーメイドの治療を行います。

日本最高の放射線治療を目指しております。

がん種

治療概要(治療実績)

放射線患者治療実績

乳腺 頭頚部 消化器 泌尿器 血液腫瘍 呼吸器 子宮 脳腫瘍 その他 合計
2011 158 96 82 79 30 48 19 6 4 522
2012 154 82 70 66 43 68 16 9 7 515
2013 161 78 73 78 34 91 18 10 7 550
2014 103 59 88 67 29 70 22 11 6 455
2015 112 58 55 70 35 51 17 7 7 412
2016 84 54 81 69 37 62 13 8 4 412
2017 82 54 58 76 27 44 14 4 7 366
2018 93 59 76 56 38 66 17 4 7 416
2019 132 72 82 89 33 62 17 3 15 505
2020 125 59 108 91 27 94 8 8 18 538
2021 160 55 137 82 28 99 10 10 8 589
2022 125 58 94 80 28 75 5 12 11 488

その他の特殊放射線治療

強度変調放射線治療

前立腺がん、食道がん、咽頭がんなどで行ています。

体幹部定位放射線治療

肺癌、肝臓がんで行っています。

全身照射

白血病などの骨髄移植前処置として全身照射を行っています。

強度変調放射線治療 体感部定位置放射線治療 全身照射
2011 40 5 16
2012 42 0 20
2013 45 4 19
2014 45 0 14
2015 43 5 16
2016 47 4 26
2017 81 10 18
2018 75 11 25
2019 89 12 16
2020 77 33 12
2021 60 38 5
2022 70 28 11

セカンドオピニオン担当医師

医師名 専門とする領域
荻野 伊知朗 癌の放射線治療
伊藤 英子 癌の放射線治療
間瀬 美里 癌の放射線治療
西川 雄太 癌の放射線治療

乳がん

強度変調放射線治療、嘉分割放射線治療などいろいろな治療選択肢があります。
45歳以下の方は治療の選択を誤ると健常側乳がん誘発が心配となります。
我々はそうならない研究をしており安全な治療ができます。

3mm以内の精度で、乳房に放射線治療を行うため、細心の技術で丁寧に治療します。
そのため、個人に合わせて固定クッションを用いて治療します(下図)。
この技術を用いて、安全な寡分割照射や強度変調放射線治療ができるようになりました。

乳がん①乳がん①

寡分割照射では、1回の線量を増やして短期間に治療をするため、以前は25〜30回であった治療回数を16〜20回に短縮することが可能となりました。
強度変調放射線治療では、健常側の乳腺の線量を減らすことができました(下図)。

乳がん②乳がん②

術前化学療法後の乳房温存療法では、乳腺外科と共同で腫瘍内にカルシウムペーストを入れて、乳腺の切除を減らし、乳房の形態を維持する研究も行っています。

前立腺がん

泌尿器科医と協力して、前立腺内に小さな金マーカーを永久挿入し、放射線治療前に簡易なCT (cone beam CT)撮影し、金マーカーの自動照合をしています。
また、蓄尿や治療前の直腸ガス抜きを行うことによって3mm 以内の精度で前立腺への照射が可能となりました。
強度変調放射線治療は、VMAT (volumetric modulated arc therapy)を用いることで以前まで7分程度かかった治療時間を2分に短縮することが可能になりました。
2010年3月から530名以上の前立腺がん患者さんに金マーカー挿入した強度変調放射線治療を行ってきましたが、侵襲のある治療が必要な副作用はなく、良好な治療成績が得られています。

治療計画を行う際に、MRI とCTで整合して、前立腺の形を正確に描出しています(下図)。

前立腺がん①前立腺がん①

毎回の放射線治療前にcone beam CTを撮影し、治療計画CTと重ねて、前立腺のずれを検証します(下図左)。
自動照合で金マーカーを合わせます(下図右)。
金マーカー挿入は生検より負担が少なく、取り外す必要がありません。
個々の症例に合わせた最適な強度変調放射線治療を行っています。

前立腺がん②前立腺がん②

当院で2年以上経過観察した、生物学的無病再発率(前立腺特異抗原の再上昇がない)を示したのは、下図です。(2022年12月現在)
PSA<10の場合:5年で98.5%、10年で92.1%治癒しており、
PSA10-20の場合:5年で95%、10年で80.5%治癒しており、
PSA>20の場合:5年で85.9%、10年で69.3%治癒しています。

放射線治療後10年における軽度以上の副作用(>grade 2 晩期障害)は、直腸が3.2%で膀胱が4.9%です。軽度の出血のみが多く、重篤な副作用はほとんどありません。

前立腺がん③前立腺がん③

食道がん放射線治療

2000年から2020年まで、放射線治療を用いて700名以上の食道がん患者さんに根治的放射線治療を行いました。
その多くは、消化器病センター外科医と協力の上、抗がん剤を併用した放射線化学療法であり、手術と同等な治療成績をめざしています。
早期食道癌においても、内視鏡専門医と協力で、病変範囲に金属クリッピングによる印付けを行い、正確な病変を把握できるようにしています。
それにより正常臓器に不必要な照射をすることのない放射線治療が可能です。
これらの技術により良好な放射線治療成績が得られます。

食道がん放射線治療①食道がん放射線治療①

食道の癌病変の上(口側)と下(足側)に内視鏡を用いて金属で印をつけます。(上左図)
放射線治療を計画する際は、治療計画CTで矢印のように印をつけた金属が白く写ります。
これにより、病気の範囲が正確にわかります。(上右図)
金属は自然に脱落します。

食道がん放射線治療②食道がん放射線治療②

強度変調放射線治療によって心臓などの重要臓器の照射線量を減らし、治療効果向上に貢献しています(上図)。

肝臓がん

強度変調放射線治療を用いた体幹部定位放射線治療を行っています。
呼吸変動を少なくするため、息止めや腹部を圧迫します。
呼吸による変動を正確に測定し、治療計画の際は造影CTを用いて腫瘍を正確に描出し、腫瘍以外の不必要な照射を減らします。
1回約1〜2分の治療を5回行います。副作用を減らし良い治療成績がえられています。

肝臓がん①肝臓がん①

腫瘍を正確に描出します。左上図 赤(内側)、 腫瘍の形に合わせて正確に照射します。
右上図 腫瘍に4250cGy以上(黄色)照射されていますが、近くの心臓の線量を減らしています。

肝臓がん②肝臓がん②

腫瘍を正確に描出するには、造影剤を使用していないCT(左上図)だけでなく、造影剤を用いたCT(右上図)を用います。

肺がん

特殊治療として体幹部定位放射線治療を行い、手術と同等の治療成績をめざしています。
横隔膜圧迫装置を用いて呼吸変動が少ない状態で治療しております(下図)。
毎回の放射線治療前に、治療装置の備え付けてある簡単なCT (cone beam CT)で撮影し、計画CT画像とcone beam CT画像を照合後に放射線治療を行います。
1回約20分の治療を5回行います。
治療中並び治療後も問題となる副作用がほとんどないため、80代、90代の高齢者でも問題なく治療を行っています。

肺がん肺がん

上咽頭がん・P16陽性中咽頭がん

咽頭の周囲には、視力に大事な視神経・視交叉、生命維持機能の中枢である脳幹、様々なホルモンの働きをコントロールしている下垂体、その他脊髄、唾液腺、腕神経叢など様々な重要臓器があります。
上咽頭がん、P16陽性中咽頭がんにおいて、これらを含めた重要臓器の線量を下げ、腫瘍やリンパ節転移の十分な線量を照射するため、強度変調放射線治療を行います。

上咽頭がん・P16陽性中咽頭がん上咽頭がん・P16陽性中咽頭がん