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研究室のトビラー小島伸彦研究室(再生生物学研究室)

再生医療に不可欠な臓器の再構築法の研究を行い、2016年に開催された「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD」で見事最優秀賞を獲得した、生命環境コース 小島伸彦研究室を紹介します。

朝倉夕稀さん(左)
山田晃さん (中央)
平沢雅宏さん(右)

再生医療の発展に貢献したい

ーー 小島研究室を選んだ理由や研究室の魅力について 教えてください。

山田:再生医療の分野に興味を持っていたことから、臓器の再構築法の研究に取り組んでいる小島研究室を選びました。現在iPS細胞の発見により再生医療関連の研究が活発化していますが、3次元的に細胞を組み立てる技術が今後特に重要になると思ったからです。

小島研究室では活発に外部発表を行っていることも魅力的に映りました。
学部生の時から学会に参加する機会も多く、高い専門性をもつ研究者に交じっての発表やディスカッションは、新たな発見や知見が得られることから有意義だと感じました。

ーー 普段はどんな研究をしていますか?

朝倉:バラバラの細胞を組み立てて3次元な組織を再構築する研究をしています。
肝臓や膵臓、骨髄、精巣などといった臓器・組織が持つ微細構造を再構築・制御し、「ミニチュア臓器」を作製することを目標としています。
また再生生物学研究室では生体に準じた臓器を再構築する一方で、細胞の組み立て方を工夫するというアプローチでより高機能な臓器や、生体には存在しない新機能をもった臓器の開発にも取り組んでいます。
研究室では普段、さまざまな培養条件で3次元組織を作製し、その組織構造や機能を観察・評価しながら、より適した培養系を探っています。
具体的には、培養細胞や動物組織から単離した細胞を用いて高分子が含まれた高粘性培地で3次元組織を再構築します。そして3次元組織の構造を様々な染色法によって観察したり、分泌されたタンパク質の量を測定するなどして組織のもつ機能の評価を行っています。
作製した3次元組織が目的に近い微細構造を形成していることを染色した状態で見た時は非常に嬉しく感じました。その反面、結果がなかなか出ない時は悔しいです。ただ研究室の雰囲気はとても 明るくメンバーの仲が良いため、誰かが何か悩んでいることがあっ ても皆で相談して解決しています。

ーー 「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD」への参加について教えてください。

平沢:「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」とは、国内外で絶大な人気を誇るSF漫画である「攻殻機動隊」の世界観の実現を目指すプロジェクトです。2015年11月に東京大会(予選)があり、今年2月に最優秀賞を決めるためのthe AWARDが開催されました。
小島研究室チームはこれまでの研究成果を生かし、「義体化」をテーマに人工肝臓の開発を紹介しました。
肝臓の機能を分かりやすく説明するため、多くの方に馴染みの深いアルコール分解量を示して説明を行いました。私たちが扱っているのは細胞からなる小さな組織であり、展示内容のインパクトが小さいので、人工肝臓を分かりやすく表現するためには特に工夫が必要でした。
他のチームは機械系の展示が多く、生物系で挑んだのは私たちのチームだけでしたので、まさか最優秀賞を獲得できるとは思っていませんでした。

賞をいただくことがゴールではなく、今後も医療あるいは産業へ応用できるレベルの人工肝臓を実現できるように頑張ります。

担当教授より

小島研究室の4年生には、自分で考え行動する必要のある困難な課題をあえて与えています。
困難な課題を前にした学生たちは、最初は戸惑うようです。しかし、一旦「壁」を破ると目覚ましい活躍をし、学生自ら研究成果を研究会や学会で発表しています。国際学会で発表を行う学生もいます。小島研究室の4年生は、まさに研究を推し進める主人公です。
高い生体機能や精密な生体構造を備えた3次元的な臓器をどうやったら作ることができるのか。
世界中で試行錯誤が始まっていますが、まだまだ混沌とした状況です。はっきりした答えは見つかっていません。自分で考えて手を動かすことで、誰もが考えつかない方法を見出していく楽しさをぜひ味わってほしいと思います。
(小島伸彦/生命環境コース 准教授)

※この記事は、横浜市立大学 広報誌whitsle vol.31(2016年4月発行)に掲載されたものです。


(2017/5/31)

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