ナビゲーションをスキップして本文へ
  • English
  • 日本語
  • 簡体中文
  • 繁体中文
  • Korean
  • 通常版
  • テキスト版
  • 交通・キャンパス案内
  • 資料請求
  • お問合せ
  • サイトマップ

研究者検索

大学紹介


ここから本文

HOME > 医学群 遺伝学 才津准教授、松本教授ら研究グループが、小児の難治性てんかんの原因遺伝子を発見

医学群 遺伝学 才津准教授、松本教授ら研究グループが、小児の難治性てんかんの原因遺伝子を発見

平成25年8月27日
先端医科学研究課

〜『The American Journal of Human Genetics』オンライン版に掲載〜
(米国東海岸時間8月29日正午:日本時間8月30日午前1時)

横浜市立大学学術院医学群 遺伝学 才津 浩智准教授、松本 直通教授ら研究グループは、小児の難治性てんかんの原因遺伝子の一つを発見しました。この遺伝子は、3量体Gタンパク質による細胞内のシグナル(情報)伝達に関与しており、シグナル伝達の異常がてんかんを引き起こすことが示唆されました。
本発見は、治療に抵抗性を示す難治性のてんかんの原因遺伝子を明らかにしたばかりでなく、細胞内シグナル伝達の障害という新しいてんかんの発症メカニズムを強く示唆するものです。今後、細胞内シグナル伝達という観点からてんかんの病態の理解がすすみ、難治性てんかんの新しい治療法の開発に大きく寄与することが期待されます。
この研究は、山形大学小児科 中村 和幸助教・加藤 光広講師を中心とする小児神経専門医グループ、横浜市立大学学術院医学群 生化学 緒方 一博教授、浜松医科大学神経生理学 福田 敦夫教授らとの共同研究の成果であり、横浜市立大学先端医科学研究センターが推進している「研究開発プロジェクト」の成果のひとつです。

研究概要

てんかんは、人口の1%近くの患者がいると推定されています。小児期に発症したてんかんの70〜80%は治療により発作を完治させることが可能と言われていますが、抗てんかん薬によるコントロールが難しい(難治性)症例も多く存在します。有効な治療法の開発のためにも、その原因遺伝子を明らかにすることが重要です。
共同研究グループは、全エクソーム解析1)という新しい研究手法を応用し、379例の難治性てんかん患者中4例にGNAO1遺伝子の新生突然変異2)を認めました(図A)。4つの変異は虫から哺乳類まで同じように持っているアミノ酸に変化をもたらします(図A)。4名の患者は、難治性のてんかんに加えて、知的障害、運動発達障害を呈し、うち2名には、意図しない異常運動が起こる不随意運動を認めました。
GNAO1遺伝子からは、神経細胞における細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすことが知られている3量体Gタンパク質3)のαサブユニット(Gαo)が作られます。3量体Gタンパク質の立体構造モデルにおいて、4つの変異はタンパク質構造を不安定にする、あるいはシグナル伝達の障害を引き起こすことが示唆され、変異Gαo発現細胞では、細胞内での発現部位の変化とカルシウム電流の抑制障害が示唆されました(図B,C)。

注釈

1)全エクソーム解析:ゲノムの蛋白質を決める部分(エクソン)を全て解析する方法。
2)新生突然変異:両親には認められない変異で、患者で起こった突然変異。
3)3量体Gタンパク質:グアニンヌクレオチド結合タンパク質のひとつで、情報(シグナル)の伝達に関連している。細胞で、情報(シグナル)が他の種類の情報(シグナル)に変換される過程では、細胞膜上の受容体にホルモンなどの分子が結合し、酵素などにより細胞内の因子が次々にシグナルを受け渡す。

☆研究成果のポイント
○全エクソーム解析で、難治性てんかんの原因遺伝子を特定。
○原因遺伝子(GNAO1)に、両親の持たない、新生突然変異を有する。
GNAO1は3量体Gタンパク質のαサブユニット(Gαo)をコードし、細胞内シグナル伝達に関与。
○変異タンパク質は、細胞内局在やタンパク質の安定性などに影響をおよぼし、その一つの結果としてカルシウム電流の異常が引き起こされることが示唆された。

(A)難治性てんかん患者に見つかった、GNAO1遺伝子の4つの新生突然変異。どの変異も、Gαoタンパク質の虫から哺乳類まで非常に良く保存されたアミノ酸の変化をもたらす変異であった。
(B)正常および変異Gαoをマウス神経芽細胞腫にて一過性発現させたところ、正常型では細胞膜への局在を認めたが、3つの変異Gαoでは、細胞膜だけではなく細胞質での局在を認めた。
(C)正常および変異GαoをNG108-15細胞に発現させ、ノルエピネフリン投与による、カルシウム電流の抑制の程度を測定した結果。正常型を発現させた細胞では、約20%のカルシウム電流の抑制を認めたが、3つの変異(p.Gly203Thr, p.Asp174Gly, p.Thr191_Phe197del)では、カルシウム電流の抑制は減弱する傾向が観察された。

※本研究成果は、米国の科学雑誌『The American Journal of Human Genetics』に掲載されます。
(米国東海岸時間8月29日正午:日本時間8月30日午前1時オンライン発表)

※この研究は、文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」の一環として、また、厚生労働省「難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業」、独立行政法人科学技術振興機構、日本学術振興会などの研究補助金により行われました。

お問い合わせ先

(本資料の内容に関するお問い合わせ)
○公立大学法人横浜市立大学 学術院医学群 遺伝学
 才津 浩智:hsaitsu@yokohama-cu.ac.jp
 松本 直通:naomat@yokohama-cu.ac.jp
 TEL:045-787-2606 FAX:045-786-5219

(取材対応窓口、資料請求など)
○公立大学法人横浜市立大学 先端医科学研究課
 立石 建
 TEL:045-787-2527 FAX:045-787-2509
 E-mail:sentan@yokohama-cu.ac.jp

横浜市立大学先端医科学研究センター

先端医科学研究センターは、横浜市の中期計画に基づき、「がん」や「生活習慣病」などの疾患克服に向けて取り組んでいる大学の研究施設です。基礎的研究を推進し、さらにその成果を少しでも早く診療の場や市民の方々に還元する「橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)」体制の構築を目指しています。現在、本学の持つ技術シーズを活用した最先端の医科学研究を行う23件の研究開発プロジェクトを推進し、研究成果を市民等の皆様へ還元することを目指しております。

URL:http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/index.html

ページトップへ