YCU 横浜市立大学
search

大学院生命ナノシステム科学研究科留学生(博士後期課程) イムティアジ・ハサンさんが、ラジシャヒ大学准教授へ昇任

2018.01.10
  • TOPICS
  • 大学

大学院生命ナノシステム科学研究科留学生(博士後期課程) イムティアジ・ハサンさんが、ラジシャヒ大学准教授へ昇任 

大学院生命ナノシステム科学研究科に在籍するイムティアジ・ハサンさん(博士後期課程3年、バングラデシュ人民共和国籍)は、研究活動の優秀さが認められ、2017年8月27日付けで、ラジシャヒ大学より准教授の職階を与えられました。同大学でも博士号取得前の昇任は特例で、生命ナノシステム科学研究科では在学中に公立大学准教授へ昇任した、初の大学院生として特記されます。
左: イムティアジ・ハサン ラジシャヒ大 准教授 右:大関泰裕 横浜市立大 教授 左: イムティアジ・ハサン ラジシャヒ大 准教授 右:大関泰裕 横浜市立大 教授
ラジシャヒ大学(学生数26,495名、含大学院生2,112名)は、バングラデシュ人民共和国を代表する4つの公立総合大学のひとつです。理学部生化学・分子生物学科の助教を勤めたハサンさんは、博士号取得を目的に、2012年10月より文部科学省国費外国人留学生として来日。2013年4月から横浜市立大学大学院へ進学して学位取得の研究を行っています。
横浜市大では、「がん細胞の細胞死をひきおこすムール貝レクチンの構造と機能」に関する研究に取り組み、インパクトファクター3.5以上の国際学術雑誌へ掲載された2論文を含む5報の筆頭著者論文の発表、国際学会で2度のトラベル・グラント・アワードの受賞、学術編書の分担章の執筆、研究成果の新聞掲載、などの実績をあげました。また、これまでに母国と日本で行った共同研究は、24報の共著論文に発表されました。バングラデシュの公立総合大学で昇任する場合、学外の大学教員を含めた厳格な審査会が開催されます。彼はそこで准教授(Associate Professor)としての資格を認められ、昇任が決まりした。

右:S. M.  Abe カウサル チッタゴン大教授 右:S. M. Abe カウサル チッタゴン大教授

イムティアジ・ハサンさんへのインタビュー

横浜市立大学大学院へ留学してよかったことは何ですか?

留学先の研究室に、大学教員として活躍する卒業者がおり、非常に励まされました。2009年に博士号を得てチッタゴン大学教授として活躍するS M Abe Kawsar博士とは、彼のJSPS外国人研究者招へい事業(FY2015)を通じ、横浜で出会いました。共に師事をした研究指導者のもとで、10ヶ月間実験や生活を行った経験は、母国での共同研究や、交流を広げる信頼関係づくりに大変役に立ったと感じています。2010年に博士号を得た長崎国際大学薬学部講師の藤井佑樹博士とも、同世代の研究者として、互いに高め合える関係を作れました。
大学院国際リトリートプログラム(2015年3月2-8日)では、横浜の姉妹都市である米国サンディエゴ市を訪れました。大学間協定を結ぶカリフォルニア大学サンディエゴ校とサンフォード・バーナム・ペルヴィ医学研究所の一流研究者を前に研究発表できたことで、研究者としての自信がつきました。YCUカリフォルニアオフィス所長山崎裕子博士からも歓待され、世界へ目を向けることの大切さを学べました。
バングラデシュ人民共和国 ラジシャヒ地区にて 2017年 バングラデシュ人民共和国 ラジシャヒ地区にて 2017年

母国の准教授に昇任して変わることは? 今後、横浜市立大学に期待することは?

豊富な自然を持つバングラデシュでは、生物資源を有効に利用していくため、生化学の専門家の育成は重要です。しかし教育にかかる資金不足の課題も克服しなくてはなりません。一方、人口密度が世界最高(=第7位)であることは、人材の多様さも意味します。だからこそ、その中にいる優秀な者を探して育てることを、いつも行っていかなくてはならないのです。准教授に昇任できたことで、大学の意思決定に一層関われ、日本で学んだ経験を、教育・研究の充実に生かせやすくなると考えます。将来は、博士号の取得だけでなく、横浜市立大学とラジシャヒ大学との教育プログラムが作れ、大学院生の交流が盛んになっていければ大変に嬉しいです。 

横浜で留学を考える海外の学生にむけて

横浜は、大都会と自然が共存し、刺激の多い大好きな街です。そして横浜市立大学は、教育の手厚さや、留学生の割合数から、2016年には小規模大学として世界16位にランキングされた、我々が誇れる大学です。人間関係などの日本文化の特性に早く慣れ、日本人と交流する機会が増えて友達を見つけられると、留学がより豊かで楽しくなると思います。 
総合大学の教員であるバングラデシュ人国費留学生を受け入れ、育て、考えたこと
生命ナノシステム科学研究科教授 大関 泰裕

YCUに学んだ二人の留学生は、優れた研究者を目指し、明るく、高い教養を持つ総合大学の若手教員でした。来日直後から信頼関係を築き、学位を得た後も国際間共同研究を継続できれば、人間性と研究力に優れた大学教員へ成長させられると思えたものです。あわせてバングラデシュ人民共和国の教育の高度化に、横浜市立大学も貢献ができると考え、指導を引き受けました。2008年から発表し始めた彼らとの共著論文も2017年には48報にのぼり、その高い能力を知ることができました。彼らの元で学んだ学生がYCUへ留学して、南アジアの文化により、大学を一層活気づけてほしいと思うとともに、二人が互いに国を代表する総合大学の教員であることを生かし、研究と教育面で大いに協力して、この国の学術を高めていき続けてほしいと期待しています。 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加