III 事故の事実経過

附属病院からの報告を検討,確認した結果,本件事故が発生した平成11年1月11日(月)午前8時20分頃から午後4時45分頃までに至る一連の事実経過については,次のとおりである。

1 病棟から手術室交換ホール

2 手術室交換ホール

3 手術室

4 手術終了後ICU入室

 手術後,A氏は午後3時50分に,B氏は午後4時20分に,それぞれICUに入室した。A氏はICU6番ベッド,B氏はICU5番ベッドに運ばれた。
 午後4時40分に,ICUの看護婦が,5番ベッドの患者(B氏)の体重を測定したが,その結果を見たA氏の主治医O(助手)と麻酔科医Mは,A氏の心臓手術後に見込んでいた体重(60kg)と異なるため,この患者はA氏ではないのではないかとの疑いを持った。
 午後4時45分に,ICUの医師Z(A氏の元主治医グループの1人)が,B氏を診察し,A氏の主治医Oに「Aさんとは顔が違うと思う。」と言ったところ,その主治医Oも「そう言えば,もう少し眉毛と髪の色が濃かったような気がする。」と言った。
 このICUの医師Zは,ひょっとしたら2人が入れ替わったのかもしれないと思い,隣の6番ベッドに行き,患者(A氏)の心音を聴いたところ,10月に検査入院したときにみられた心雑音が聴かれた。そこで,6番ベッドの患者(A氏)に「Bさん」と呼びかけると,「はい」との答えがあったが,「お名前は何ですか?」と続けて聞いたところ,「Aです。」との答えが返ってきたため,患者が入れ替わっていたことが確認された。

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