はじめに

   横浜市立大学医学部附属病院では,平成11年1月11日に2人の患者を取り違え
  て手術をするという,医療機関としてはあってはならない重大な医療事故を起こして
  しまった。このような事故は国民に医療に対する不信をつのらせるとともに,大学附
  属病院への信頼と期待を一挙に失わせる結果となった。横浜市立大学の設置者である
  横浜市は,二度とこのような事故を起こさないように,大学外の専門家に委員を委嘱
  して事故調査委員会を設置し,事故原因の分析と対策の整理を行い,詳細な「事故調
  査報告書」を作成した。横浜市立大学では,事故対策委員会を設けて取りあえずの対
  策をたてたが,それだけにとどまらず,この事故を個々の医療人の落ち度のみと考え
  ず,病院の安全管理システム及び組織運営体制にも問題があったと認識し,包括的な
  組織として病院改革委員会を設置し,抜本的な病院改革にも取り組み,平成11年9
  月3日「病院改革委員会報告書」を発表した。
   以上述べた諸委員会でまとめられた事故調査に関する報告と,事故の再発防止対策
  及び病院の抜本的な改革案に関して自己点検・評価委員会を設置して,改革の進捗状
  況について点検・評価し,その結果を「自己点検・評価報告書」として平成11年
  10月22日にとりまとめた。これらの調査,報告及び改革案に関してさらに外部評
  価委員会を設置して,外部評価を受ける体制をとった。このような事故後の対応はこ
  れまでに例のないことであり,事故処理に関して画期的な対応であったと評価できる。
   依頼を受けた外部評価委員は7名であり,平成11年10月30日,11月22日,
  12月25日の3回にわたり外部評価委員会を開催し,また各委員が個々に病院視察
  を行って,外部評価委員会としての報告書を作成した。
   この報告書は,医療事故が起こった背景とその原因,横浜市立大学の委員会が作成
  した事故の再発防止策及び横浜市立大学医学部附属病院の病院改革案に対して,外部
  評価委員会の意見をまとめたものである。

   平成12年2月

                              外部評価委員会
                            委員長 猿 田 享 男