I はじめに

 平成12年6月28日,横浜市立大学医学部附属病院において,外用消毒薬のボトルに誤って内用薬用のラベルを貼り付けて患者さんに渡すという「薬剤ラベル貼り付けミス」が発生した。続いて,7月13日,附属病院において「モルヒネ注射液の紛失」が判明した。

 前者は,担当職員の注意力が散漫であり,職務を忠実に遂行しなかったことが主たる原因であり,またこの原因は,後者の事故においても十分指摘されるところである。したがって事故に関わった個々人は,ことの重大さをあらためて認識しなければならない。

 しかし,これらは事故に関わった一部の職員だけの問題ではなく,これまでの附属病院の医療安全管理についての取組が未だ不十分であることの表れであり,大学として深刻に受け止めている。

 横浜市立大学では,事故後直ちに,「横浜市立大学病院改革委員会」のもとに「薬剤ラベル貼り付けミス,モルヒネ注射液紛失」調査特別委員会を設置し,今回の事故の原因と背景を調査・分析し再発防止策を検討することとした。

 本報告書は,この調査結果をとりまとめたものである。報告書のとりまとめにあたっては,調査特別委員会において事実経過と原因,背景要因等についての整理と検討を行い,この検討結果をもとに,外部の専門家や有識者の方々のご意見を幅広く伺った。