ナビゲーションをスキップして本文へ
  • English
  • 日本語
  • 簡体中文
  • 繁体中文
  • Korean
  • 通常版
  • テキスト版
  • 交通・キャンパス案内
  • 資料請求
  • お問合せ
  • サイトマップ

研究者検索


ここから本文

HOME > 教員からのメッセージ − At the Heart of YCU > 患者さんとともに歩む。その先に、整形外科の未来があります - 齋藤知行教授

患者さんとともに歩む。その先に、整形外科の未来があります - 齋藤知行教授

結果が見えるから、モチベーションもあがる

整形外科は主に、骨、関節、筋肉、神経組織を含めた「運動器」の問題を取り扱います。運動器は骨格を形成し、内臓を守り、歩く、走るなど、あらゆる動きの基盤となるものです。また、喜ぶ、驚くなどの感情表現ともつながるなど、人間にとって様々な役割を果たしています。

人体には骨だけでも200以上あり、関節ひとつとっても肩関節と肘関節では構造が違います。整形外科ではそうした幅広い部位に対し、薬物療法、装具療法、運動療法、手術などの各種治療法から最適なものを提案しています。こうした幅広いシチュエーションに対応するのは難しくもありますが、同時に自分の知識や技術が試されるという面で、整形外科の魅力でもあるといえます。

<プロフィール>
齋藤知行(さいとう・ともゆき)
医学群 教授
(学部)医学部医学科
(大学院)医学研究科医科学専攻
整形外科学。膝関節機能再建、スポーツ医学などを研究分野とする。
研究者情報 

また、整形外科の治療は結果が明確に出ます。歩けなかった患者さんが、手術後一週間で歩けるようになったり、治療のプロセスもレントゲンで一目瞭然でわかるなど、自分が施した治療が実際にどう作用し、効果を上げたかがはっきりと判断できるので、やりがいも感じられます。

治療効果がはっきりわかるということは、患者さんとの密な関係にもつながります。コミュニケーションをしっかり図って治療し、効果が上がれば、次はここまで頑張りましょうと励まし、患者さんの努力を促す。そうして一体となって完治というゴールを目指す。ある意味、人間くさい面もあり、そこがおもしろいところでもあります。  

再生医療に、さらなる可能性を

 整形外科のひとつの柱に、運動器の再建を目的とした再生医療があります。人体には一度障害を受けると再生が難しい組織があり、その代表的なものが関節軟骨です。身体の修復には血液が欠かせないのですが、関節軟骨には血管が通っていないのです。

再生を目指し、以前は軟骨の細胞を培養して患部に投与していましたが、現在では人の生体に移植することを目的とした素材である「生体材料」を使う治療が主流になっています。ハイドロキシアパタイトなどの生物由来の素材に、骨髄にある様々な細胞に分化可能な幹細胞を融合させ、欠損部に入れ込むことで軟骨細胞を修復させることができます。

生体材料を使った治療法の大きな成功形ともいえる人工関節は、現在日本では年間約6万件、海外では20万件もの手術が行われています。今後は幹細胞を用いた組織再生の研究も進め、治療の可能性をさらに広げていきたいです。

スポーツをサポートする、整形外科のチカラ

整形外科と深い関係にあるのが、運動器がその基盤となっているスポーツです。ケガをした選手を、以前と同様の状態に戻すにはどうしたらいいか。特にプロのスポーツ選手など、競技として肉体を限界まで酷使する人の治療には、極めて高い完成度が求められます。例えば80才の方を日常生活に支障なく歩けるようにすることと、陸上選手を100メートル9秒台で走れるようにすることでは、当然ゴール設定は全く違うものになります。

ですから、スポーツ選手の復活への道を探ることは、私たち医師にとってもまた、やりがいのあるチャレンジなのです。現在私自身も、Jリーグや社会人のラグビーチームをメディカル面からサポートしています。スポーツに関心のある方にとっても、整形外科は非常に刺激的でおもしろい分野だと思います。

横浜から世界へ、スケール大きく

現在、医療においては、世界が非常に近くなっています。昔は海外での学会発表には、各大学からせいぜい1人か2人が出席するだけでしたが、今ではひとつの学会に、20近くの演題を用意し発表することも珍しくありません。日本の医療も、これからは国内だけのものでなく、ロシアからも中国からも東南アジアからも患者が治療に訪れる、アジアの医療のハブ拠点になる必要があります。そんな時代に必要なのは語学をはじめとしたコミュニケーション力です。高校・大学と、勉強はもちろん、遊びや雑学も含め、知識と経験を積める貴重な時間です。視野を狭めず、幅広い分野に関心を持ってください。

機会があれば海外へも留学し、日本とはまた違った、厳しくも充実した医療の現場に触れてみてください。そうした経験がコミュニケーション力の向上にもつながるはずです。
 港町であり、国際都市である横浜で学ぶのなら、常に世界に目を向けた、スケールの大きな医師を目指してほしい。それが私の願いです。

(2012.7.20更新)

ページトップへ