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HOME > 教員からのメッセージ − At the Heart of YCU > 医学の、自らの可能性を拓くのは、あくなき探究心です−石上友章准教授

医学の、自らの可能性を拓くのは、あくなき探究心です−石上友章准教授

幹細胞を用いた先進医療を実践

私が現在取り組んでいる治療及び研究に、「末梢血幹細胞移植による血管新生療法」があります。これは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた療法である「先進医療」の承認を得た最新の治療方法です。横浜市立大学は他にも「骨髄幹細胞移植による血管再生療法」でも先進医療の承認を得ています。血管再生療法において先進医療の承認を2つ以上受けている大学は全国でも稀で、当大学の医療レベルの高さの証明にもなっています。

「末梢血幹細胞移植による血管新生療法」の対象は、血管が細く詰まった状態になる動脈硬化症や、血管内に血栓ができ、その先の組織が壊死してしまうバージャー病など、主に手足などの四肢の血管に関する末梢動脈疾患の方々です。そしてその中でも、既存の内科的治療(薬物、カテーテル治療)や外科的治療(バイパス手術)の適応のない(no option)、重症の方々になります。

石上友章(いしがみ・ともあき)
医学群 准教授
(学部)医学部医学科(大学院)医学研究科医科学専攻
病態制御内科学/循環器・腎臓内科。附属病院では、末梢血等の幹細胞移植による血管再生医療(先進医療)を行っている。
研究者情報   附属病院 

人間の骨髄血、末梢血には血管のもとになるとされる細胞(幹細胞)が存在すると考えられています。血管新生療法とは、その幹細胞をアフェレーシスという機械を用いて体外で濃縮し、患部に投与することで、血流のネットワークを回復させるものです。これにより安静時の痛みや、切断以外の選択肢がなかった四肢の潰瘍に対しても確かな効果を発揮しており、当大学附属病院のデータでは、先進医療申請時の2010年の時点で約8割の患者への有効実績をあげています。

また、末梢血幹細胞の採取は骨髄血細胞の採取時のように全身麻酔を行う必要もなく、何度も繰り返し安全に行えることから、今後、より幅広い施設での、より多くの患者への適応が進むことが期待されます。

写真は、「末梢血幹細胞移植による血管新生療法」の治療のようす。患者さんへの負担が少なく、治療中の医師・看護師との会話に花が咲く。多くの医師、ME(臨床工学士)、看護師などのスタッフがチームで医療を進めている。

日々の業務や研究が医学の進歩につながり、最適な診療を提供できる。それがこの仕事のやりがい

血管再生医療は、現時点では完全無欠なものとは言えませんが、従来の内科治療や外科治療とはコンセプトが異なる細胞治療の現在形のひとつとして、その可能性は無限にあると考えています。今後は最新の技術や知識を応用して、より効果的で、より安全な治療法として提供できるよう、さらに研究を進めていきます。

また現在、他大学の工学部の方と協力して動脈硬化症をはじめとした循環器疾患の自己免疫基盤を明らかにする研究に着手しています。動脈硬化症などに対し先進医療がさらなる働きかけが行えるよう、学内機関とも連携を深めていくつもりです。

医療・医学には未解決の問題がまだまだあります。私は循環器分野を専攻し、高血圧や血管再生医療についての研究を行っていますが、学生時代に師事した教授の「本態性高血圧症は原因不明」と繰り返しおっしゃった言葉に啓発されたのが、現在の研究、診療分野の選択へとつながっています。医学の研究を進めることで、未知の部分に光をあて、疾病や人間についての理解を深めることができたらとの思いです。

自分の日々の業務や研究がさらなる医学の進歩につながり、その結果、患者さんへより最適な診療を提供することができる。その点が、この仕事の一番のやりがいであり面白さだと思います。

医師に求められるものは課題の発掘・解決能力、情報発信能力、そして尽きぬ探究心

医師になるには当然、十分な医学知識の習得が不可欠です。国家試験に合格すれば、直ちに医師として患者さんの前に立つことになります。あいまいな知識では患者さんの期待に応えることも、信頼を得ることもできません。私は授業や指導を通し、学生に最新の医学知識に接する機会をできるだけ多く届けられるよう心がけています。

そしてその知識をベースに、自ら課題を見つけることができる「課題発掘能力」、課題を解決する「課題解決能力」、発見や成果を伝える「情報発信能力」を身につけてもらうことを目標にしています。

ただ同時に、医学の知識や技術があればそれでいいというわけではありません。医師は患者さんという人間を相手にする仕事です。人への関心や洞察を含め、極論すれば森羅万象あらゆるものについて強い探究心を持ち、どん欲に吸収していく態度が大事です。また自分の判断や理解が誤っているかどうか常に自問自答し、時に勇気を持って修正する謙虚な姿勢も求められます。

これから医学を目指す方には、ぜひ多くのものに関心を持って接し、自らの可能性を磨いてほしいです。

(2012.4.23更新)

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