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平成26年度開催報告

平成26年度のひらめき☆ときめきサイエンス「植物の適応力を観る!〜ゲノム研究と化学研究で最先端の植物科学を学ぶ〜」は、木原生物学研究所(舞岡キャンパス)にて26名の高校生のみなさんとともに始まりました。

科研費について

嶋田先生より、木原生物学研究所や科研費の説明がありました。木原生物学研究所ではコムギやトウガラシの研究を始めとする、最先端の植物科学が研究されています。
そのような研究には費用がたくさんかかります。費用の面で研究を支援するもの、その一つが科研費(科学研究費助成事業)です。大学や研究所にいるたくさんの研究者が競って応募し、選ばれると、税金から研究費が支出されます。科研費は、研究者が自由な発想を持ち優れた研究を進めていくためのとても重要なものであることを嶋田先生から教えてもらいました。

講義「植物のゲノムの働きを解明する研究」

一色先生に、植物のDNAや遺伝子についての講義をしてもらいました。DNAとは化学物質のひとつであり、それが組み合わせられることで遺伝子が作られます。遺伝子とはどのような働きをしているのでしょうか。それを解明するには突然変異体の形質を調べることが一番シンプルな方法です。
突然変異体はDNAの配列が変えられることにより生じるため、通常のDNA配列とは異なって生じた部分を探し出すことで原因の遺伝子がわかり、変化した形質からその遺伝子の働きを観ることができるのです。遺伝子組換えも、ある生物の元のDNAの一部を壊してその間に、その生物がもともと持っていない遺伝子を組み込むことで作られるため、突然変異体を作るために使われることもあるということも学びました。

実習「植物からのゲノムDNAの抽出と分析」〜前編〜

実際にDNAに関する実験を行いました。植物実験で最もよく使われるシロイヌナズナという植物の葉からDNAを抽出し、PCR法と呼ばれる判別方法で遺伝子組換え体と非組換え体を判別します。
最初に中村先生からPCR法や実験器具についての説明をしてもらいました。PCR法とは鋳型となるDNAサンプルの温度を操作することによって、調べたいDNA領域を増幅することです。PCR法はPCRサーマルサイクラーという機械を使って行います。各班の補助をしてくれる学部・大学院生の方たちとともに実験スタートです。

午前中は、シロイヌナズナのサンプルをPCRの機械にセットする作業です。2種類のシロイヌナズナの葉をそれぞれ水と混ぜてすりつぶすことでゲノムを抽出した後、酵素液と抽出液を混ぜ合わせます。高校生は緊張した面持ちでピペットマンを使いながら溶液を入れています。できあがったサンプルをPCRの機械にセットし、完了する午後まで待ちます。
作業が早く終わったグループでは先生や学部・大学院生が補足の説明をし、高校生は熱心に耳を傾けていました。

お昼休み

午前中の講義や実習を振り返りながら先生や学部・大学院生と一緒にお昼ごはんを食べました。また、食後のデザートには、木原先生が開発した種無しスイカを出してもらいました。木原先生は、木原生物学研究所の創設者であり、ゲノムの概念の確立やパンコムギの祖先の発見など、高等植物の遺伝学や進化学の研究で数多くの業績を残した偉大な先生です。研究所内にある畑でとれた新鮮なものだからでしょうか、高校生は、種無しスイカのできる仕組みを聞きながらとてもおいしそうに食べていました。

講義「植物ホルモンの働きを解明する研究」

午後の講義が始まり、嶋田先生から、植物ホルモンに関する説明がありました。植物は多様な化合物を合成しています。一次代謝産物とは生物の発生や成長に直接関わる化合物です。その中にオーキシン※と呼ばれるものがあります。オーキシンは成長を促進するホルモンで、例えばイチゴの実を膨らませたり、モヤシを光の方向へ成長させたりする働きをします。二次代謝産物とは成長には直接関与していませんが重要な役割を持つ化合物です。色素などがこれにあたり、植物の中では二次代謝産物が多く作られています。これらの化合物や植物ホルモンはクロマトグラフィーを使って分析することができます。
最後に、大学での研究は、化学、物理、数学などの多様な科目の基礎の上に成り立っていることや、研究の世界での標準語が英語であることを教えてもらい、高校生は勉強への意欲をより一層高められたようでした。

実習「植物からのゲノムDNAの抽出と分析」〜後編〜

クロマトグラフィーによる植物の色素分析に入る前に、午前中の実習の続きです。
PCR法によって増幅されたDNAサンプルを解析し、2種類のシロイヌナズナが「組換え体」と「非組換え体」のどちらなのかを判別します。
まず装置から出されたサンプルを、電気泳動用ゲルに入れます。ピペットマンを使い小さな穴に入れなければならない細かい作業のため苦戦している様子でしたが、作業がうまくいって拍手が沸き起こるグループもありました。次に電気泳動装置で電気泳動を行います。電気泳動によってPCR法で増幅されたDNAが大きさごとに分離されます。待っている間、それぞれ実験器具や関連する事柄について先生や学部・大学院生に積極的に質問をしていました。

電気泳動後、染色したゲルを別の実験室に移動し、検出器で結果を見ます。中村先生の解説により野生型遺伝子のみが検出された方が「非組換え体」で、野生型遺伝子と組換え型遺伝子の両方が検出された方が「組換え体」であることが分かりました。

実習「植物からの色素抽出とクロマトグラフィーによる分析」

普段よく目にする食べ物から色素を抽出し、TLCを用いて色素の構造や種類の違いを分析します。TLCとはクロマトグラフィーの一種で、色素の分析や化学反応の進行の確認に用いられるものです。白衣と手袋を身に着け、実習が始まりました。
ホウレンソウとカラーピーマン3種を使うグループ、ホウレンソウと海藻3種を使うグループがありましたが、どちらもまずは乳鉢と乳棒を使ってサンプルと抽出液を混ぜ合わせます。混ぜ合わせるのに苦労をしている高校生の姿が見られましたが、だんだんと慣れてきて、よく混ざった液体を作り出すことができました。
その液体をエッペンチューブに入れヘキサンを加え、ボルテックスミキサーでさらに混ぜます。

次にこの液体を、ピペットマンを用いてTLCにスポットしていきます。ピペットマンの使い方にだんだん慣れてきたようで、手際よく作業を進めていきます。スポットされたTLCを展開溶媒の入ったビーカーに入れ、数分待ちます。展開溶媒が先端近くに到達したらビーカーから取り出し、ホウレンソウとカラーピーマン、海草の色素の位置を比較します。

その結果、カラーピーマンを使ったグループではホウレンソウと緑色のピーマンはほとんど同じ色素を持つが、赤色のピーマン、黄色のピーマンはそれぞれ異なる色素を持つことがわかりました。海藻を使ったグループではホウレンソウと青のりはほとんど同じ色素、わかめとのりはそれぞれ異なる色素を持つことが分析されました。先生や学部・大学院生にアドバイスや補足の説明をしてもらうことでしっかりと実習を終えられたのではないでしょうか。

研究所内見学

精密分析室や培養室などでは授業に出てきた、オーキシンを分析する装置や、オーキシンを感知する遺伝子が壊れている変異体を見ながら先生の説明を受けました。普段なかなか見ることのできない研究室に、高校生は大変感激している様子でした。

一通り所内を回ったあとは外の圃場見学に行きました。ここでは、遺伝資源を有効に活用する研究のためにイネ、トウガラシ、スイカなどが育てられています。
ここで、お昼に出されたスイカを作ってくださった圃場管理者の鈴木さんから圃場の植物や設備について説明を聞きました。

未来博士号の授与と記念撮影

今日のプログラムを終えた記念として、高校生にはひとりひとりに、木原生物学研究所の所長である高山先生から「未来博士号」の賞状が授与され、高校生や先生方と記念撮影をし、プログラムは幕を閉じました。

ひらめき☆ときめきサイエンスは、講義と実習を行ってくれた先生方、協力してくれた学部・大学院生、そしてなにより科学を通して「ときめき」を感じることができた高校生のみなさんの力によって大成功に終わりました。
これからも、今日感じた「ひらめき」や「ときめき」を大切に、今後も科学研究に興味を持ってもらえたら幸いです。