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がん遺伝子検査外来のご案内

~がん細胞が持つ遺伝子異常を詳細に解析し、新たな治療法の選択肢を見出す~

はじめに

横浜市立大学附属病院消化器内科肝胆膵消化器病学では、2016年11月1日より、がん遺伝子検査外来を設立しました。この外来では、患者さんのがん組織における遺伝子の変化を解析し、効果的な薬剤を探索する検査である、がん遺伝子検査(がんクリニカルシークエンス検査)を提供させていただきます。がんクリニカルシークエンス検査は、プレジション・メディシン(Precision Medicine)と呼ばれる、米国の医療研究推進の戦略と深く関係しています。当院では、米国で開発された最先端のがんクリニカルシークエンス検査であるMSK-IMPACTを提供させていただきます。

がん遺伝子検査の目的

がんは、遺伝子の異常によって生じる病気です。遺伝子とは、ご自身の体をどのように造るかという設計図のような情報です。これは、両親から受け継いだものであるために『遺伝』という言葉が使われています。しかしこの設計図は、様々な原因によって間違った情報となることがあり、この『体の設計図の異常』が、がんという病気の本態です。

近年、この遺伝子の解析技術が急速に発展してきました。それに伴い、『分子標的薬』と呼ばれる、遺伝子の異常を標的とした薬剤が次々に開発されてきました。これらの薬剤は、特定の遺伝子異常に対して設計されているため、理論上、その遺伝子異常を持っているがんには全て効果があると考えられます。がん遺伝子検査は、多数の遺伝子異常を網羅的に解析することで、ご自身のがんに効果があると考えられる薬剤を見つけ出すことが目的です。

なぜ、がん遺伝子検査が必要なのか

新しい薬剤が開発され、使用許可が降りるためには、その薬剤が本当に有効か、安全かなどを調査する必要があります。この調査を臨床試験と呼んでいます。臨床試験は、通常がん種を限定して行われ、使用許可は臨床試験が行われたがん種のみに降ります。例えば、肺がんの薬として開発された薬剤は、肺がんの患者さんで臨床試験が行われ、肺がんの患者さんにのみ適応となります。
 遺伝子解析の技術が確立する以前は、がんは発生した部位、顕微鏡での見た目などにより、分類されてきました。肺に出来れば肺がん、胃にできれば胃がんです。これに加えて、遺伝子解析技術が進歩した現在では、特定の遺伝子異常を持ったがん、持たないがん、といった分類も使われ始めています。そして、遺伝子の解析が進むにつれて、違う部位に出来たがんでも、同じ遺伝子異常を持っている場合がある、ということが分かってきました。胃がんや乳がんのHER2遺伝子異常などが有名です。

以上の事実から、ご自身のがん細胞が持っている遺伝子異常を出来る限りたくさん検出すれば、ご自身のがん種では通常使用しなくても、遺伝子異常を根拠に効果がある可能性を持つ薬剤を見出すことが出来るかもしれません。また、原発不明がんのように、そもそも効果的な薬剤が全く分からないがん種も存在します。このような場合でも、がん遺伝子検査という新たな検査により、効果がある可能性を持つ薬剤を見出すことが出来るかもしれません。

プレジション・メディシン(Precision Medicine)とは

プレジション・メディシンとは、2015年1月20日にアメリカのオバマ大統領が一般教書演説で、科学技術に関する施策として発表した言葉です。日本語では、『精密医療』と訳されることが多い言葉です。プレジション・メディシンは、がん医療に限定した施策ではなく、医療研究全体に対するものです。
これまでの医療は、対象とする疾患の『平均的な患者』に対する最適な治療法を探索してきました。そして、その治療法を、全ての患者へ当てはめていました(”one-size-fits-all-approach”)。がん医療においても、前述した『臨床試験』がまさにそれに当たります。このアプローチは多くの恩恵をもたらしましたが、一方で治療法の探索に限界のあるアプローチでもあります。例えば、極めて稀な病気の場合は、平均的な患者の設定自体が困難であり、このアプローチでは治療法の探索ができません。また、通常高齢者に発生するがんの若年発症例など、疾患自体は稀ではないものの、その疾患の集団の中では稀な患者に対し、平均的な患者に最適な治療法を当てはめて良いのかという点も難しい問題です。
プレジション・メディシンは、平均的な患者に最適な治療を探索してきたこれまでの医療研究からの次のステップとして、もう少し細かい枠組み(subpopulation)を作って、研究を進めようとするものです。がん医療の世界では、発生臓器、顕微鏡での見た目(組織系)などによりこれまでも分類が行われてきましたが、今後は、遺伝子変異の違いなどを含めたさらに細かい枠組みを作り、解析を行うということになります。

当外来で使用する検査

当外来では、米国Memorial Sloan Ketteringがんセンター(以下MSKがんセンター)が開発した検査である「MSK-IMPACT」というがん遺伝子検査を提供します(日本業務委託窓口:テーラーメッド社)。この検査を導入した理由は下記の通りです。

1.国内最大の検査遺伝子数
がん関連遺伝子410個と18種類の融合遺伝子を一度に検査します。この遺伝子の数は国内で行われている同様の検査の中では最大の数(約2倍)になります(2016年5月現在)。検査パネルは随時最新のものに更新されていきます。

2.信頼性の高さ
がん遺伝子検査は、その質が非常に大切ですが、日本にはその質を厳格に定めた基準がありません。MSK-IMPACTは米国の非常に厳しい基準をクリアした信頼性の高い検査です。検査を行うMSKがんセンターは2014年に全米No.1がん専門病院(U.S. News & World Report調べ)に選ばれており、同センターの専門スタッフが検査結果を審査します。さらにMSK-IMPACTは、同じ患者さんの正常細胞の遺伝子も同時に解析することで、がん細胞にのみ生じた遺伝子異常を知ることができます。

3.費用の安さ
MSKがんセンターは寄付を元に成り立っているNPO法人であり、利益を追求しなくてよいため、この種類の検査としては極めて安価な価格設定となっております。MSKがんセンターの要望もあり、当病院も利益は上乗せせず、実務費用のみ加算して価格を設定しました。

費用

がん遺伝子検査は保険外診療になります。初回説明の外来に1万1130円の支払いが必要になります。その後、検査に同意し、検査を受ける場合には、60万7416円(横浜市立大学附属病院の院内患者さんは59万7166円)の費用が必要となります。この金額には、検査結果の説明が含まれており、これ以上の追加請求はありません。初回説明の外来後に、その場で支払うこともできますが、一度考えて後日検査に納得してから支払うことも可能です。
また、本検査によって効果があると考えられる薬剤が見つかった場合でも、多くの場合、保険診療内で使用することが出来ません。保険適応外の薬剤を使用する場合は、自費診療となります。この点に関しましては、初回外来時に現在日本で使用可能な分子標的薬を自費診療で使用すると、どのくらいの費用が必要となるのか、いくつかの例を説明させていただきます。

期間

検体準備後、米国に発送されてから約5週間で結果が到着します。

検査結果から分かること

検査結果は、患者さんのデータをMSK-IMPACTデータベース(Precision Oncology Knowledge Base)と照合し、報告されます。MSK-IMPACTの結果の原本は英語ですが、検査受注会社のテーラーメッドが和訳したものを作成してくださいます。しかし、それでも解釈は非常に難しいので、当院ではオリジナルのレポートを作成してお渡ししています(サンプルはこちら)。
まず、遺伝子変異に直接対応した薬剤がないかを判定します。その他、遺伝子変異が患者さんのがん種において、抗がん剤の感受性に関与すると報告されているものがないかを判定します。また、免疫チェックポイント阻害薬という新しい抗がん剤は、その効果予測因子が特別ですので、これに関しても判定します。
また、何も新しい治療の選択肢が見つからなかった場合は、逆に言えば現時点ではガイドライン治療が最良の選択肢であるという強力な根拠になります。特に、前述した『疾患自体は稀ではないが、その疾患の集団の中では稀な患者』に対し、ガイドライン治療を行うことの根拠にもなると考えられます。

検査を受けた後

検査を受けた後も、MSK-IMPACTのデータベースは更新されていきます。データベースの更新により、新たな治療法の選択肢が出現した場合には、こちらからご連絡させていただきます。このため、引っ越しをされる場合などは、当院の電子カルテの連絡先を変更しますので、ご連絡をいただきますようお願いいたします。

適応

本検査は高額な自費検査であり、本検査によって効果があると考えられる薬剤が見つかった場合でも、多くの場合、保険診療内で使用することが出来ません。このため、保険適応の標準的治療を超えて新しい治療法をお勧めするものではありません。しかし、以下のような患者さんに新しい選択肢を提示出来る検査として有用性が高いと考えております。
 ①標準的治療の効果が認められなかった患者さん
 ②標準的治療法が存在しない希少がんの患者さん
 ③原発不明がんの患者さん
 ④標準的治療が存在するが、合併症の存在などにより治療導入が困難と予想される患者さん
また、上記に該当しない場合でも、患者さんご本人の同意が得られる場合には検査を施行しております。本検査は、既存の検体を用いて行うものなので、患者さんの身体的な負担はありません。本検査の最大の目的は精密な診断にあり、何か新しい治療法の選択肢が見つかったとしても、その治療を受けることと、検査を受けることは別の話として考えるべきです。『保険適応の標準的治療を超えて新しい治療法をお勧めするものではない』といった本検査の目的を理解していただき、同意をしていただける場合には、特に制限なく検査を受け入れています。

必要な検体

必要な検体は『腫瘍部未染スライドおよび正常組織未染スライドを、薄切5μmで各20枚』です。
外部からご依頼の場合は、
①パラフィンブロックとHEスライドをすべて送っていただく。
②腫瘍が一番多いブロックと、正常組織が一番多いブロックの二つだけ送っていただく。
③②のブロックを薄切して送っていただく。
のいずれかにて、対応させていただきます。

お申込みし込み方法

本検査に関するお問い合わせは、できる限りかかりつけの主治医の先生にお願いしていただけますと幸いです。主治医の先生から当方までご連絡していただければ、主治医とお話しの上、こちらから患者さんに連絡させていただきます。
担当:横浜市立大学附属病院 消化器内科 肝胆膵消化器病学 加藤真吾
連絡先: TEL 045-787-2800 (代表) e-mail

患者さんからのお問い合わせは、当病院の代表までお願い致します。
連絡先: TEL 045-787-2800 (代表)
この際、『加藤真吾が担当のがん遺伝子検査』とお伝えください。遺伝性疾患を担当する遺伝子診療部とは別の部署ですのでご注意ください。
また、e-mailでもお受けします。e-mailを確認後、こちらから連絡させていただきますので、電話番号をお忘れなくお書きください。
担当:横浜市立大学附属病院 消化器内科 肝胆膵消化器病学 加藤真吾 e-mail

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