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HOME > 国際交流 > 世界の食糧と食資源 〜メキシコでの実践的体験実習〜

世界の食糧と食資源 〜メキシコでの実践的体験実習〜

「環境生命専門実習I」「総合講義A「地球環境と生命」」「資源生物利用学」「生物と進化」において、国際総合科学部環境生命コース・木原生物学研究所の坂教授の指導のもと、9月12日〜9月23日の日程で学生8名がメキシコ合衆国を訪れました。

調査概要

 世界的な人口の増加と地球規模での環境変動、経済・情報のグローバル化などにより、深刻な食糧危機と環境問題が身近に迫っている。世界の貧困と飢餓を撲滅するために研究開発活動を続ける国際農業研究機関のCIMMYT(国際トウモロコシ小麦改良センター)に滞在し、世界の食糧・環境問題の理解、トウモロコシをはじめ多くの栽培作物の起源地メキシコでの資源生物の遺伝的多様性の学習、乾燥地農業地域の環境と品種改良の現場を知り保全農学と食資源の重要さについて理解を深めた。

 さらに世界の六大文明に数えられるメソアメリカ文明(ティオティワカン、アステカ文明など)の繁栄を支えた食資源の歴史と文化人類学的背景、多数民族が混在しスペインによる征服と歴史の中で守り続けられる多様な伝統、NAFTA(北米自由貿易協定)のもと新たな社会経済構造と急激な開発を続ける国家の姿など、水とゴミが取り巻く環境問題など現地を訪問してその足跡をたどり多岐にわたり体感的に視野を広げた。メキシコで活躍する日本人の姿や日本とメキシコの友好の歴史を認識し、アステカの文化・自然・食を体感して異文化交流を図るとともに、コミュニケーションツールとしての実践的な英語・スペイン語の重要性を理解して国際的感覚を身につけた。

活動内容

CIMMYT本部

 本学は2007年11月に、メキシコシティー近郊に本部を置く国際農業研究機関のCIMMYTと日本の大学として協力協定を結んだ。CIMMYTは、1970年代に日本のコムギ遺伝資源の農林10号がもつ半矮性遺伝子(草丈が短くなり施肥しても倒伏せず飛躍的に収穫量を上げる)を利用してコムギの収穫量を飛躍的に高めた品種を開発し世界の食糧危機に際して1億人を飢餓から救った研究機関である。この技術革新と人材育成による持続的生産拡大が、20世紀の安定的な食糧供給をもたらした。この業績により、当時CIMMYTのコムギ部長であったNorman E. Borlaug博士がノーベル平和賞を受賞している。今回の海外フィールドワークは、CIMMYTとの協力協定を活かし世界の飢餓・貧困を撲滅するために活動する国際研究機関を拠点に、多数の世界遺産を擁する情熱の国メキシコで次に報告するプログラムでアステカの文化・自然・食を体感、異文化交流を目的とした体感実習を実施した。国際総合科学部・環境生命コースの授業(環境生命専門実習I、総合講義A「地球環境と生命」、資源生物利用学、生物と進化)と関連し、それら理系の学習内容を実践的に活かすのみならず、多岐にわたる関連部野の学習により国際的な視野を広めた。

活動の概要

9月12日(金)
成田 11:30-(AA176)-09:15 ダラス 12:05-(AA675)-14:35 メキシコシティー 16:30 CIMMYT到着(テスココ)
国際農業研究の概要研修
・CIMMYT紹介と施設案内(CIMMYT, Dr. P. Kosina)

高地Toluca試験地

9月13日(土)
メキシコの大学・研究所訪問
・Chapingo自治大学訪問(Chapingo大、川南真理子先生、穂積拓夫先生)
・テスココ周辺の青空市場(Tianguis)探索と有機野菜販売所訪問

9月14日(日)
メキシコの歴史文化研修、メキシコ自然観察
・ティオティワカンのピラミッド(世界遺産)訪問、国立文化人類博物館

9月15日(月)
CIMMYT国際食糧農業問題・遺伝資源研修(午前)
・トウモロコシ・ジーンバンク(遺伝子銀行)見学(CIMMYT, 田場博士)
・コムギ・ジーンバンク(遺伝子銀行)見学(CIMMYT, Dr. B. Espinosa)
メキシコ伝統農家見学(午前)
・テスココ近郊のプルケ生産サボテン栽培農家を訪問(Chapingo大、穂積拓夫先生)、Chapingo大で研修中の東京農大のグループに合流してリュゼツラン栽培圃場を尋ね、伝統的アルコールのプルケ生産を見学
CIMMYT国際食糧農業問題・遺伝資源研修(午後)
・トウモロコシ栄養品質研究室訪問(CIMMYT, Dr. L. Galicia)
・植物病理研究/JP-FHB project訪問(CIMMYT, 村上二朗ポストドク研究員)
・コムギ遠縁交雑研究室(CIMMYT, 岸井正浩研究員)
独立記念日前夜祭・歴史文化研修、異文化交流(夕刻)
・Chapingo大での独立記念日前夜祭式典参加
・Chapingo大で実地研修中の東京農業大学生徒の交流

9月16日(火)〔メキシコ独立記念日〕
メキシコの歴史文化研修、メキシコ生活体験
・ソチミルコ(世界遺産)訪問
・UNAM(メキシコ自治大学)見学、図書館の壁画(世界遺産)見学
・メキシコ市街、コヨアカン地区散策(メキシコ市民の独立記念日祝祭を体感)
・メキシコ在住日本人(中村剛さん宅)訪問(海外での仕事と生活、メキシコでの生活、メキシコ人から見た日本人、メキシコ人の死生観についてなどお話を伺った)

9月17日(水)
CIMMYT国際コムギ育種研究研修(午前)
・CIMMYT 高地Toluca試験地(標高2,600m)訪問、育種栽培研究現場見学(CIMMYT, Sr. Ing. F. Delgado)
国際関係・外交問題研修(午後)
・在メキシコ日本大使館訪問(日本大使館の役割について国際現場で働く公務員の仕事について説明を受け、日墨の科学技術・文化・教育交流、農産物の貿易の現状、ODAによる日本の国際貢献について研修を受けた)(尾原書記官、進藤書記官)9

Tlatizapan試験地での実習

9月18日(木)
CIMMYT国際食糧農業問題(午前)
・食糧危機とバイオ燃料について(CIMMYT, Dr. P. Aquino)
・国際品種連絡試験、植物検疫研究室訪問(CIMMYT, Dr. E. Rodriguez)
・高地向けトウモロコシ育種研究視察(CIMMYT, Dr. J.L. Torres)
・コムギ品質研究室訪問(CIMMYT, Dr. J. Pena)
・持続的農業生産システム研究研修(CIMMYT, Dr. P. Kosina)
CIMMYTバイテク研究研修(午後)
・Applied Biotechnology Centerの紹介(CIMMYT, Dr. S. Dreisigacker)
・ABCの研究施設見学(CIMMYT, Dr. A. Serna)
・トウモロコシ分子育種研究研(CIMMYT, Dr. M. Cortes)
・遺伝的多様性研究(CIMMYT, Dr. C. Bedoya)
・対立遺伝子探索研究(CIMMYT, Dr. J. Yan)
・遺伝子組換え研究(CIMMYT, Dr. H. Wu)

9月19日(金)
CIMMYT国際トウモロコシ育種研究研修(午前)
・CIMMYT 亜熱帯トウモロコシTlatizapan試験地(モレロス州、標高954m)訪問(CIMMYT, Sr. Ing. O. Banuelos)
メキシコ自然観察(午後)
・国立公園カカウアミルパ鍾乳洞(Grutas de Cacahuamilpa Guerrero)探索

9月20日(土)
メキシコの歴史文化研修、メキシコ生活体験(午前)
・銀の町タスコ(世界遺産Taxco)訪問(スペイン征服時代に世界最大の産出量を誇った銀山の町。コロニアル文化と歴史を探訪)
メキシコの歴史文化研修、メキシコ生活体験(午後)
・近代のメキシコシティー文化を保存するサンアンヘル地区を探訪、芸術家が集う画家広場を探索

9月21日(日)
メキシコシティー文化・歴史・社会探訪、異文化交流(スペイン語実地練習)
・世界遺産メキシコシティー歴史地区(Centro de Historico)(ソカロ、メトロポリタン・カテドラル、国立宮殿、テンプロ・マヨール、アラメダ広場)探索
・シウダレラ民芸品市場(Mercado de la Ciudadela)訪問
・レオン・トロツキー博物館(トロツキー終焉の地)訪問
・フリーダ・カーロ美術館(フリーダカーロの生家「青の家」)訪問
・米国式スーパーマーケット(WAL-MART)探索(急激に広がるアメリカ文化とNAFTAの影響、メキシコ経済の急成長する市民の生活変貌を体感)

9月22日(月)〜23日(火)
メキシコシティー 6:30-(AA1066)-9:05ダラス10:10-(AA175)-13:05+1 成田到着
成田空港第2ターミナル到着ロビーにて解散

実習の総括と得られた成果

最終日、メキシコシティ歴史地区(ソカロ)にて

 今回、国際総合科学部の学生8名(1年2名、2年5名、4年1名)を引率し、昨年MoUを締結したメキシコにあるCIMMYTを拠点に、理系の科目としては始めて海外フィールドワーク支援プログラム実施した。12日間(渡航の3日を含む)で環境生命専門実習I、総合講義A「地球環境と生命」、資源生物利用学、生物と進化を受講し生物多様性や生命資源の特徴や重要性、保護、世界の食糧と環境の問題と国際社会の中で考え行動する意義を学ぶ野外体験型実習としての現地短期研修を行った。

 日本の約5倍の面積を持つメキシコ合衆国は、メソアメリカ文明で培われた多彩な食資源と食文化をもち、土着の先住民族とスペインの文化が複雑に混ざり合って独特のラテン的雰囲気を作り上げている。日本とは古くから友好関係を持ち、19世紀の榎本移民団より始まり総計10,000人以上の日本人が移住し、その子孫が国内各地に生活している。経済面においても1888年に締結した日本にとっては始めての平等条約(日墨修好通商条約)にはじまり、現在ではFTA締結によりメキシコ国内でも多くの日本人が活躍している。「メキシコ人は神様の次に日本人を尊敬する」といわれるように日本人には非常に友好的で、今回が初めての海外渡航の学生も含め、海外フィールドワーク参加者は安全かつ快適に滞在することができた。

 日本から16時間近いフライトを経て、海抜2,240mのメキシコシティーに到着した。フライトの疲れと15時間の時差に加え高地の酸素の薄さのため、健康管理(特に水分の補給)には気を配り、十分に休息を取りながら実習を行った。ちょうど渡航した日程がメキシコの独立記念日と重なり、週末を挟んだお祭り気分の街中であったため、officeが休みになる時には観光的要素も含みメキシコの歴史・文化・社会探訪と異文化交流を中心に、参加者は楽しみながら多くのことを学ぶことができた。大半が車での移動、スペイン語と英語の生活圏で緊張もあったが、メキシコの食事にはみな満足して、健康面でも大過なくすごすことができた。

 またメキシコの気候は変化に富んでおり、山上に雪を関する5,000m級の活火山から、熱帯雨林の海岸線まで数時間のドライブで移動でき、目の前で植生や自然環境の連続的変化を観察できる。今回の実習では、メキシコシティーから車で1〜2時間で海抜3,000mの峠を越え26,000mのCIMMYT高地Toluca試験地を訪問し、一方海抜954mの亜熱帯Tlatizapan試験地を訪問し、CIMMYTがメキシコの多彩な気候をうまく利用して世界のトウモロコシ、コムギ品種開発している研究の現場を学習できた。

 海外フィールドワーク受講生は、世界遺産をはじめとする地域を訪問し多様な歴史、文化、自然に関する講義と研修を通じて、また実際にメキシコでの生活から異文化との交流をスペイン語・英語によるコミュニケーションの重要性と、一方で人としての言葉を超えた交流、さらには日本の生活との比較を通じた体験的学習など、本学から将来の国際的農業分野の取り組みに参加する有為な人材育成と意識づくりに大きな効果があった。現地研修の中で参加学生の全員が女子で、過半数がAO入試あるいは推薦入試による学生であったことが判り、参加者の向学心が研修の効果を高めたと考える。国際派人材育成に向け、学生の自ら進んで学ぶ意識と異文化交流の体験的学習の重要性及び取組の重要性を再認した。

 参加した学生にとって今回メキシコで体感し視野を広げたことが貴重な経験となり、今後の勉学に高い動機付けになることを期待するとともに、将来グローバルな視点で活躍する人材として成長することを願っている。

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