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日本物理学会第70回年次大会で学生奨励賞を受賞した岸さん

2015年3月、早稲田大学で開催された「日本物理学会第70回年次大会」で、生命ナノシステム科学研究科 橘研究室 修士課程2年の岸健晴さんが、学生奨励賞を受賞しました。
岸さんに、今回の受賞について伺いました。

今回の大会では、どのような内容を発表されたのでしょうか?

私は、「グルコースイソメラーゼ結晶の力学的性質」というタイトルで口頭発表を行いました。
グルコースイソメラーゼとは、タンパク質の一種です。タンパク質結晶は、一般的にタンパク質分子の構造解明のために用いられ、創薬において重要な物質です。しかし、タンパク質結晶は、結晶中に多量の水分子を含むため脆く壊れやすく、その脆さの克服が分子構造解明の実験に用いる際の課題となっています。そのため、タンパク質結晶の硬さなどの力学的性質を定量的に知ることが大切です。
これまで橘研究室では、タンパク質の一種であるリゾチームの結晶を用いて、その硬さや弾性定数の決定など、様々な力学的性質の先導的な研究を行ってきました。しかし、タンパク質結晶は、力学測定が可能なサイズ(mmオーダー)まで育成することが困難であること、結晶中に多量の水分子を含むため脆く測定が困難という理由から、リゾチーム結晶以外のタンパク質結晶の力学的性質の測定は、世界的にもほとんど行われていませんでした。
今回の発表では、グルコースイソメラーゼ結晶というリゾチーム以外のタンパク質結晶の力学的性質の測定を行い、測定が困難であるタンパク質結晶の力学的性質の包括的な理解に寄与できたという点が、受賞につながったのだと思います。
日頃よりたくさんのご指導をくださっている橘先生・研究室メンバーに深く感謝いたします。

大会に参加されることになったきっかけや感想、エピソード等あれば、お聞かせください。

今回発表した「グルコースイソメラーゼ結晶の力学的性質」は、結晶の取り扱いが困難であるという理由から、始めは実験がうまくいかず、成果が出ていませんでした。しかし、橘先生のご指導の下、実験結果を見直すことで新たな発見があり、このテーマで大会に参加・発表させていただくことになりました。その時はとても嬉しかったです。
口頭発表ではとても緊張しましたが、一般的な結晶と異なるタンパク質結晶の特異性を伝えることができたと思います。質疑応答では、他大学の先生から、一般的な結晶の観点からの質問をいただけました。普段の研究生活では、他大学の先生や専門家の方から直接ご意見やご質問をいただく機会はなかなかないので、学会に参加するということは、自分の知見を広げていくうえでとても大切なことだと実感しました。

大会に参加するに当たって、事前準備など特に意識した点や工夫した点があれば、お聞かせください。

「タンパク質の力学的性質」という研究は、未解明の部分が多く、研究の有意性があまり知られていません。そのため、事前準備では、聞き手に「面白い、有意義な研究だ」と思ってもらえるよう、特に意識しました。例えば、タンパク質結晶は、格子定数が一般的な低分子結晶と比べ非常に大きく、水分子を多量に含むのですが、それにも関わらず塑性変形(そせいへんけい)のメカニズムが一般的な低分子結晶と同じであることなど、どのような点が興味深いのかを考え、聞き手に伝わる発表ができるよう、意識しました。

研究室では普段どのような研究・勉強をされているのでしょうか?

現在は、正方晶と斜方晶という形の異なる2種類のリゾチーム結晶における硬さの違いについて研究しています。どちらも同じリゾチーム分子から構成されるにも関わらず、硬さなどそれぞれ異なる結果が得られており、研究の面白さを感じています。
普段の勉強では、一般的な結晶の弾性や塑性、格子欠陥についての参考書を読んだり、過去の橘研究室の論文を読んでいます。

研究・勉強の中で苦労することや大変なことはありますか?

実験で苦労することは、タンパク質結晶は脆く、取り扱いが難しいということです。私は手先が器用ではないので、取り扱いの難しさから実験が思うように進まないことがあります。しかし、その分、実験がうまくいった時には大きな喜びを感じることができます。
また、勉強では、タンパク質結晶の力学的性質については、報告されている論文や参考にできる文献が少ないという点で苦労します。しかし、参考にできる文献が少ないからこそ、一般的な結晶学に基づいて実験結果を考察していくなど、基礎・基本の大切さに気付くことができました。

将来の夢や、目標があれば教えてください。

将来の夢は、高校の理科の教員になることです。私は、教員に求められる資質には「授業のわかりやすさ」や「常に研究・研鑽し続ける姿勢」があると考えています。そのような資質を、橘研究室での研究生活を通じて身につけ、教員として恥ずかしくない人間になりたいです。また、現在行っているタンパク質結晶の研究を通じて、先進的な研究にこそ、基礎・基本の勉強が大切だということに気付くことができました。この「基礎・基本の大切さ」ということを、将来生徒に伝えていきたいです。
橘先生は、「学生の成長」ということを本当に考えてくださる先生だと思います。人としての常識的なことから研究のことまで、幅広くご指導くださいます。教員になる前に橘先生の下で学ぶことができ、本当に良かったと思っています。また、研究室のメンバーのゼミ発表や研究に対する姿勢を見ていても、勉強・刺激になることばかりです。今後も橘研究室でたくさん学び、その経験を活かしていきたいです。

橘勝教授からのコメント

今回、岸君が研究発表を行った日本物理学会は、自然科学分野の最高峰の学会の一つで、ノーベル物理学賞受賞者も数多く輩出しています。本学会は、他の学会に比べて学会賞は少ないのですが、最近、いくつかの領域で学生賞が設けられました。今回、岸君の受賞した学生奨励賞は第1回目にあたり、大変良かったと思います。これまでにも研究室から毎年のように本学会で研究発表を行っていますが、今回の受賞はこれまでの研究室のOB、OGの活躍も含めて与えられた受賞でもあると思います。岸君は「タンパク質結晶の力学物性」という物理学会ならではの基礎研究を行っています。この分野は実験の難しさもあり研究者人口も少ないのですが、将来的には非常に重要な分野になることは間違いありません。今回の受賞を励みに、これまで以上に実験、研究に励んでくれることを期待しています。

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