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第36回日本血栓止血学会で優秀ポスター発表賞を受賞した佐野さん

2014年5月29〜31日、大阪市で開催された第36回日本血栓止血学会で、生命ナノシステム科学研究科生命環境システム科学専攻博士前期課程2年生の佐野未奈さん(東昌市研究室)が、優秀ポスター発表賞を受賞しました。
受賞した佐野さんと東昌市准教授に、研究内容について伺いました。

がん細胞の浸潤・転移についてタンパク質の機能から解析

悪性がんでは、がん細胞が周囲のタンパク質を分解して浸潤・転移する際、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)という酵素が使われるため、MMPsの酵素活性阻害剤ががん転移を抑えると期待されていました。ところが、近年の遺伝子機能解析の結果、ヒトが持つ24種類のMMPsの中には、それらの酵素活性が阻害されると副作用を生じるものがあることが明らかになり、そうした酵素活性を区別して制御することが重要になっています。
私たちは最近、がん治療の標的となるMMP-2の活性のみを特異的に阻害できる人工タンパク質APP-IP-TIMP-2の開発に成功しました。

私たちの研究室では、培養細胞を用いた実験やマウスを使った動物実験などで、がん細胞の増殖や転移能に及ぼすタンパク質の効果を調べています。今回これらの手法を用いて、高特異性MMP-2インヒビターであるAPP-IP-TIMP-2が、がん浸潤や血管新生にどのような効果があるかを調べた結果、がん浸潤を抑制する効果に加え、太い血管を形成させる効果があることを見出しました。

新規活性の発見と構造機能-相関を明らかに

がん組織では、MMP-2が血管内皮細胞の細胞間接着に必要なタンパク質であるVE-カドヘリンを切断し血管透過性を高めることで、血管新生を促進することが示唆されています。
今回、マウスの体内でAPP-IP-TIMP-2がMMP-2活性を阻害することで、血管新生が抑制されるという仮説をたて実験を行ったところ、仮説とは反対にAPP-IP-TIMP-2が太い血管の形成を促進することを明らかにしました。この効果はMMP-2阻害活性とは無関係で、APP-IP-TIMP-2を構成するTIMP-2のN末端領域が重要であることが明らかになりました。今回の受賞は、APP-IP-TIMP-2の新規活性の発見と構造-機能相関を明らかにした点を評価して頂きました。

目標はがん等の疾患治療薬の開発

将来の目標は、APP-IP-TIMP-2の強力なMMP-2阻害活性が、多くのがんの浸潤性増殖や転移に及ぼす効果を明らかにするとともに、この人工タンパク質が持つMMP-2阻害活性とは無関係な活性が血管透過性や血管新生に及ぼす効果を分子レベルで明らかにすることです。実際にAPP-IP-TIMP-2が生体内でどのような効果を持つのかを明らかにし、がん等の疾患に対する治療薬開発へ繋げたいと思っています。

東昌市教授からのコメント

最近の研究で、がん組織の中に形成される血管は細く未成熟なもので、物質の運搬能力が低いことが明らかになっています。この血管の性質によって抗がん剤が血管を通してがん組織内にうまく運ばれないことが、がんを根治できない原因の一つと考えられています。
APP-IP-TIMP-2にはがん細胞の浸潤を抑える効果があることから、この人工タンパク質をうまく活用すれば、がん細胞の浸潤・転移を抑制しつつ、その血管成熟促進効果によって抗がん剤をがん組織内に行き渡らせることで、がんの根治が可能になるかも知れません。

今回の佐野さん受賞は、昨年の病態プロテアーゼ学会に続いて2回目であり、大変嬉しく思います。佐野さんのさらなる研究発展に期待しています。

(2014.6.16取材)

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