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HOME > 学生生活 > 第3回分子シミュレーション国際会議で学生優秀発表賞を受賞した緒方さん

第3回分子シミュレーション国際会議で学生優秀発表賞を受賞した緒方さん

2013年11月18-20日、神戸国際会議場で開催された「第3回分子シミュレーション国際会議」において、生命ナノシステム科学研究科物質システム科学専攻博士前期課程1年生の緒方勇大さん(立川研究室)が、
「ab initio経路積分分子動力学法を用いたOH-(H2O)2に対する原子核の量子効果の影響」という研究発表で学生優秀発表賞を受賞しました。
緒方さんにお話を伺いました。
(写真)左-緒方勇大さん 右-立川仁典教授

(2014.2.4取材)

指導にあたった立川教授のコメントは
こちら >>>

普段私たちが口にする水の構造が、実は明らかにされていない

水分子(H2O)が、二つの水素原子(H)と一つの酸素原子(O)から構成されることは、多くの人が知っています。高校化学の教科書にも、OH結合長は0.096 nm、HOH結合角は104.5度とかなり詳しい構造が記載されています。
ところが、普段私たちが口にする水は、たくさんの水分子が集まった水クラスターから構成され、その詳細な構造は実は明らかになっていないのです。
そこで、「水の構造を明らかにしてやろう!」という研究者が世界中にいます。実験的に構造を明らかにしようとした研究結果が多くあるのです。
今回の研究は、OH-(H2O)2という塩基の水クラスターの実験による既知の研究結果をもとに、明らかにされていない部分をコンピューターを使った量子化学計算による理論的なアプローチで解析したものです。

水クラスターの新しい構造を世界で初めて報告

具体的には、「経路積分分子動力学法」という計算手法で解析しました。通常のアプローチは電子だけなのですが、この方法だと水分子間の水素結合を理論的に解析するために不可欠な原子核も対象となります。その結果、今まで報告されていなかった新しい構造を世界で初めて報告することができました。
この研究成果で、今後、水クラスターの構造の系統的な理解、さらには水素原子が関わる分子、例えばタンパク質の詳細な構造や炭素の水素貯蔵への理解が深まることが期待できます。

この研究は学部4年生の3月頃から取り組んでいます。卒論のテーマとは直接関係はありませんが、研究に用いた計算手法は同じです。まだ始めて一年も経っていないにも関わらず学会で発表できる成果を得られ、さらに発表賞までいただけたことは、立川先生や共同研究をさせていただいている台湾中央研究院の高橋開人先生、理研の川島雪生先生のご指導、研究室のスタッフ・学生からのアドバイスによる部分が大きく、深く感謝しています。

発表では、内容にストーリー性を出し、相手に伝わる工夫も

どんなに難しいことを成し遂げ、それがどんなに価値があることでも、相手に伝わらなければ意味がありません。立川先生からは、日頃から「相手に分かるように説明するように。」とアドバイスを受けています。発表の要旨やスライドを作成する際には特にこの点を意識するように指導していただいており、研究室に配属された学部3年生のときと比べるとその能力は格段に上がったと思います。
ゼミで先生や研究室のメンバーに自分の研究進捗を報告する際や、学会で研究成果を発表する際には特に苦労します。相手がどの程度話を理解しているかを明確にし、話の内容にストーリー性を出すように意識しています。この点はこの研究だけでなく日頃生活する上でも重要なことであり、今回の受賞もこの点を大きく評価していただいたように思います。まだまだ未熟ではありますが、人生を歩む上でも必要不可欠な能力ですので、精進していきたいと思っています。

成果をあげることで楽しいと思うような人間になりたい

今後ですが、まずは今までに得られている結果をまとめて、論文を作成する予定です。研究をやるだけでなく、成果として報告することは非常に重要なことだと考えています。さらに、OH-(H2O)2に対して実験で報告されている結果があるので、その実験結果の説明付けをより詳細に行いたいと考えています。その後に今扱っているOH-(H2O)2だけでなく、他の水クラスターや異なる計算条件に対しても計算を実行し、系統的な理解を深めたいと思います。
研究をしていて楽しいと思える瞬間は、結果が予測と違い、「おっ」と思う時です。なぜかと考えてわくわくします。研究に限らず、自分に何が足りないのかを明確にし、その課題を解決できるような人間に、さらに物事に本気で取り組み、成果をあげることで楽しいと思うような人間なりたいと考えています。

指導にあたった立川教授から

今回、緒方君が世界最高精度の理論計算で明らかにしたOH-(H2O)2の構造は、従来の常識とは一線を画す、全く新しい構造です。もしかしたらOH-(H2O)2は、水一分子が触媒的に働くことで、塩基中における水素移動の最小構造なのかもしれません。この問題を理論計算で明確にさせるために、現在、さらなる理論計算を実行しているところです。
緒方君は、塩基中における水素移動だけでなく、酸性における水素移動にも大変興味を持っております。今後、このようなコンピュータを利用した理論計算により、もしかしたら中学・高校レベルの教科書を書き換えるような、全く新しい酸・塩基の概念といった、画期的な結果が得られるかもしれません。
今回、緒方君にとっての初めての国際会議で、博士後期課程の学生がもらうような賞を受賞することができました。彼の発表が高く評価されたことを、研究室一同、大変うれしく思います。今後の緒方君の研究発展に、大いに期待します。

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