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第7回分子科学討論会2013で、分子科学会優秀講演賞を受賞した浦島さん

2013年9月24-27日、京都市で開催された「第7回分子科学討論会2013」において、生命ナノシステム科学研究科ナノシステム科学専攻博士後期課程3年生の浦島周平さん(三枝研究室)が、「赤外-紫外二重共鳴スペクトルの直線偏光二色性測定:遷移双極子モーメントの配向によるグアノシンの局所構造解析」という研究発表で分子科学会優秀講演賞を受賞しました。

この研究は、三枝洋之教授の指導に加え、東京工業大学の藤井正明教授と宮崎充彦助教の助言によって完遂させることができたということです。研究内容について、浦島さんにお話を伺いました。
(写真)左-浦島周平さん 右-三枝教授

(2013.11.13取材)

グアノシンの分子構造を新しい分光学的手法で解析

この研究では、グアノシンと呼ばれる分子の孤立気相状態における構造を解析しました。
グアノシンはDNAやRNAを構成する要素の一部分であり、その構造や性質を知ることはこれら生体分子の機能を理解する上で非常に重要です。生体分子は、構造が一つ変わっただけで、違った性質を示すのです。
このような構造解析のためには「赤外振動スペクトル」を測定することが一般的ですが、振動スペクトルは「分子の揺れ動く速さ」を調べるだけですので、似たような振動数を持つ構造を区別することができません。

例えば、図の構造2と3はOH基の向きが異なるだけであるため、その振動数にほとんど差がありません(つまり構造を区別できない)。そこで私は、分子構造を直接反映した情報を実験的に得ることのできる、新しい分光学的手法の開発を行いました。これにより、従来法では決定出来なかったグアノシンの局所構造を精密に解析(構造2と3を区別)することに成功しました。

分子本来の姿をとらえるため、真空の孤立気相状態で測定

通常、このような構造解析は結晶や溶液の状態の分子に対して行われます。しかし、結晶や溶液中では、興味ある分子(今回はグアノシン)の周囲に極めて多くの分子が存在し、対象分子と相互作用してしまうため、興味ある分子の本来の姿をとらえることができません。一方、「孤立気相状態」とは、分子が真空中に一分子単独で存在し、周囲との相互作用が一切排除された状態を指します。従って、孤立気相状態における分子は、その分子が「本来好む」構造を取ることになります。この状態では、周囲との相互作用がないために、極めて精密な解析を行うことができます。また、得られた結果を結晶や溶液の結果と比較することで、その分子の機能や性質が分子間相互作用にどのように影響されているかを知ることが可能です。

今回の受賞は、有用性の高い分光手法を独自に開発したことが評価されたのだと思います。実際、これまでの研究では、グアノシンのようにOH基の配向が決められないままになっている分子が数多く存在しました。そのため、本研究の結果は「グアノシンの構造解析」に留まるものではなく、孤立気相研究全体の底上げにつながるものと期待しています。

新しい手法の開発のため、関連分野の教科書を一から勉強

新しい手法の開発ですので、得られた結果を理論により裏打ちすることがとても重要です。このため、関連分野の教科書を一から勉強する必要がありました。この期間はほとんど独学で進めていましたので、手法の着想から初めて結果が出るまでに、結局一年以上の時間がかかりました。

手法の開発は、それが多くの研究グループに採用されてこそ大きな意義を持つと考えています。このためには、数式上で導かれた理論を、定性的な描像に置き換えて説明することが重要です。三枝教授は早くからこのことを強調してくださいました。そして、この数式と定性的描像との対応について、数多くの議論を重ねました。

三枝研究室のスペクトルを見て、可能性を感じる

「理科系の研究をしたい」という漠然とした興味は、中学生の頃からあったと思います。この分野の研究に興味を持ったのは、研究室見学の際に紹介して頂いた、ある紫外スペクトルを見たことがきっかけです。私は学部時代に量子化学や量子力学の授業を多く受講していましたが、実は溶液や固体の紫外スペクトルは講義で習った理論で簡単に説明できません。これは溶液や固体には複雑な分子間相互作用が存在するためですが、三枝研究室のスペクトルは孤立気相系で測定されるためにスペクトルが単純化され、まさに講義で聞いた通りのスペクトルを得ることができます。初めてこれを目にしたとき、理論と実験の両面から分子構造を精密に解析できるという可能性を感じました。

今後も「新しい分光法の開発」を見据えた研究を行いたい

今後も「新しい分光法の開発」を見据えた研究ができたらと思っています。既に確立された手法を利用するよりもリスクの高い研究方針ですが、その分だけやりがいもある仕事です。

また、これまでの研究は分子の自然な性質を調べるという、ある意味で受動的なものでしたが、今後は積極的に分子の挙動をコントロールすることも考えています。

今後ともさらなる飛躍をめざし、日々精進していこうと思っています。

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