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【開催概要】市民講座「アルツハイマー病の診断~神経疾患バイオマーカーの開発~」

2014.06.17
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  • 講座・セミナー

アルツハイマー病の診断 ~神経疾患バイオマーカーの開発~

平成26年6月17日(火)開催概要

講師 : 五嶋良郎(横浜市立大学薬理学教授)

今回は、「アルツハイマー病の診断~神経疾患バイオマーカーの開発~」と題して、薬理学の五嶋 良郎教授が講演しました。

現在、原因や治療法があまり確立されていないアルツハイマー病の、診断マーカーや新薬の開発を目指した研究についての講演ということで、非常に多くの市民の方にご参加いただきました。
講演はまず、アルツハイマー病になりやすい要素や遺伝子の影響など、基本的な病気の情報から始まり、現在、治療に使われている薬の説明や脳のCTスキャンの画像などを紹介しました。認知症が進行する要因として、病気の初期段階で適切な治療を受けられなかった事例が多く挙げられ、健康診断で血液検査をすれば病気が診断できるようなバイオマーカーの開発が理想的という説明がされました。
病気の主な原因として、ベータアミロイドというたんぱく質が急速に脳の中に蓄積し、神経細胞が徐々に死んでいき、認知機能が低下することや、クリンプというたんぱく質がリン酸化修飾を受け、たくさんたまっていることが認知症の原因となることが判明しています。脳の神経細胞は情報伝達をすることで正常に働きますが、クリンプがブレーキがかかったままの状態でたまってしまい、正常に働かない状態です。その一例として、クリンプのリン酸化が起きないように遺伝子改変したマウスでは認知機能が低下しない様子が動画で紹介されました。
この研究結果から、できるだけ早く診断して治療するために、また、病気にならないようにするために、血液中のクリンプのリン酸化を測れるバイオマーカーはできないか、クリンプのリン酸化が起きないような薬を開発できないかと先端研究を進めています。
最後に、「脳神経は環境的な要因によって形成に差が出る。それは、生育期でも老いてからも同じであり、すべての自分を取り巻く環境において、新しいものに興味を持って生き生きと生きてください。」としめくくり、受講者の皆さんから「最新の研究で興味深かった」「新しい治療法に期待したい」「医学的な面だけでなく参考になった」というご感想を多数いただきました。 
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので、何卒よろしくお願いいたします。
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