YCU 横浜市立大学

共通教養の3つの科目群

いままで、教養とは何かということについて説明してきました。そして、教養とは問題解決能力のことであり、問題解決能力は、問題の「正しい」認識、コミュニケーション能力、知識・情報・学問の運用の能力からなることを説明してきました。

さて、これだけの準備をして、横浜市立大学の共通教養の考え方と科目を説明したいと思います。

共通教養の「共通」の意味

共通教養の「共通」っていうのは、 いったいどういう意味なのでしょうか? 昔の一般教育(教養)のような、 あらゆる学問に共通の土台(基礎知識)ということでしょうか?

答えは否です。

たとえば、医学科、看護学科、国際総合科学科の カリキュラム(履修ガイドの巻末にすべての学科の表があります)を 見比べるとわかりますが、 必修、選択必修の指定の仕方などを見ると、 意外に共通な科目というのが少ないのがわかるはずです。

では、なぜ「共通」なのでしょうか? 実はこの疑問は以前から頻繁に出されていた疑問です。 しかし、教養の意味を正確に理解していれば、 ほとんど読んで字の如しの解釈で事足りてしまいます。
 くどいようですが、教養とは問題解決能力です。 ただし、身につく教養は人それぞれです。 というのも、問題解決能力を構成しているものには、 知識、情報、学問の運用能力もあるからです。 ですから、その人が、知識、情報を持っているか、 どんな学問を修めたか、あるいは、専門が何であるかで 変わってくる可能性があるからです。 だとすれば、あとは簡単です。 問題の認識能力、 コミュニケーション能力が 学問、専門を超越して共通に必要とされる 教養の構成要素であるといえます。

あるいは、教養のうち、 専門性を取り除いたもの(忘れたかもしれませんが、 教養は専門あっての教養なのです)という 理解でも理屈上は同じことかもしれません。

ここで、「理屈上は」という言い方が気になった人もいるかもしれません。 率直に言うと、 私は専門以外の要素の中にも、 少しは、専門に関係してしまうような知識の要素が 残ってしまうように思っています。 つまり、真の汎用問題解決エンジンとしての 教養の核と専門性をつなげる 「のりしろ」のような部分があるように思います。

その理解であれば、 共通教養が担うのは、教養の核にあたる 部分(問題認識とコミュニケーション能力)と 「のりしろ」(あるいは「渡り廊下」)に相当する 部分です。

3つの科目群

共通教養が担うのは教養の核というべき問題認識、コミュニケーション能力、そして、専門との間の「のりしろ」に相当する部分です。横浜市立大学ではこれらに対応する3つの科目群を用意しています。 問題認識に関係するのが「問題提起」科目群、コミュニケーション能力をカバーしているのが「技法の修得」科目群、最後に「のりしろ」にあたるのが「専門との連携」科目群です。

最初からここまでの説明を読んだ人なら、それぞれがどういう性質の科目であり、どんな科目がどんな科目群に入っているかを想像するのは割合に容易にできるだろうと思います。


「問題提起」科目群

問題の認識そのものは一定の試行錯誤を経て形成されていくもので、さらに、これに人それぞれの要素が加わってきます。したがって、何か一般的な対応を講義できいて身につくようなものではありません。

ただし、「正しい」認識の前提に「自分らしさ」の理解があるとしたら、自分の興味、適性を掘り起こしておくことには、侮れない効果があると思います。できること、できないこと、解決のやり方などはすべて興味と適性から決まってくるのですから。

そこで、この科目群では、自分の興味や適性を知るために役立つ科目を用意してあります。「総合講義」や「実践科目」などです。「総合講義」では、いろいろな分野についてさまざまな講師を招き話をしてもらいます。現状はどうか、何がいま問題となっているのかの話を聞くわけです。そういった話を聞いているうちに、自分の興味をひくもの、気になるものが見つかってきます。

また、「実践科目」では、実際に何かを行うことを体験することで、自分(の関心)を発見していくことを狙っています。事実、やってみないとわからないことは意外に多いものです。


「技法の修得」科目群

コミュニケーション能力に関係した科目を集めてあります。

この科目群には、Practical English、その他の外国語、コンピュータ、ネット関係の科目がすべて入っています。そして、忘れてならないのが、共通教養そのものといってもよい「教養ゼミ」です。


「専門との連携」科目群

最後に残るのが知識、情報、学問の運用能力に関係する科目です。

この科目群に入る科目が最も多く、「わかりやすい科目」なので、これが共通教養を代表する科目群かのようにとられられがちですが、共通教養の共通の意味を踏まえると、あくまで、「のりしろ」のようなものにすぎません。

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